2007/3/4 K−1 WORLD GP2007 横浜 タイトル新設!
2007年のWGPシリーズの初戦は、ワンマッチ大会。それに加えて、
スーパーヘビー(100キロ超)級
ヘビー(100キロ以下)級
2タイトルの設立が決定した。
その挑戦者決定戦も含め、6カードが発表。
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォーファイトアカデミー)
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
チェ・ホンマン(韓国/フリー)
マイティ・モー(米国/シャークタンクジム)
<K−1ヘビー級(100キロ以下)タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R・延長2R>
武蔵(日本/正道会館)
藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
<K−1ヘビー級(100キロ以下)タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R・延長2R>
ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)
バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
ハリッド“ディ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデングローリー)
天田ヒロミ(日本/コシ・トラスト)
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
シリル・アビディ(フランス/ブリゾンジム)
野田 貢(日本/シルバーアックス)
まずタイトル新設について……まあ、要はPRIDEの逆パターン(笑)。グランプリ中心で回して来たものの、東京ドームの決勝大会のブランド力こそ衰えなかったとはいえ、そこにいたるまでの予選大会の求心力が低下。全戦トーナメントという過酷さが、有力選手の脱落、スター候補の伸び悩みを招いた。セーム・シュルトの君臨により、どう頑張っても100キロを切るような選手に優勝の目はない。同じくレベルの向上によって、日本人にも優勝の目はない。よって、スター候補生と日本人がもっとお手軽にタイトルを取れるようにしよう……そういうことですな。
藤本は保険のようなものとしても、武蔵、ハリ、カラエフ、誰がタイトル取っても損はしないように、最初から仕掛けているのは間違いない。さすがにこの四人はちょっとないなあ。レコやハリッドあたりも加えてほしいし、100キロ以下に絞って進化してくる選手が、まだ他にいるかもしれない。設立してすぐだからこそ、こういう近視眼的な組み合わせは勘弁してほしい。
まあそれが無理なら、今後のタイトルマッチ自体は回転を速くし、旬の実力者がすぐに挑戦出来るようなシステムを取って欲しい。
ただ、階級増には、基本的に賛成の立場を取りたい。シュルトやホンマンが規格外というのもあるが、そうでなくともスピーディーさとパワーを兼ね備えた選手が減り、ベテラン選手の省エネ一発狙いが功を奏するシーンが近年増えていた。MAXにあやかって、もっと速さと技術を見せる試合が増えてほしいものだ。
あとは、タイトルマッチを組み込むことにより、ワンマッチが活性化することにも期待。ランキングを設定すればよりいいのだろうが、ワンマッチを制していくことによって、タイトル挑戦の機会がつかめるようになれば、今まで予選トーナメントのおまけ程度の扱いであったワンマッチにも、それなりに意味が生まれてくる。
ただ、心配なのはタイトルマッチ新設による、現行のWGPシリーズの形骸化。かつてミルコが「ホーストとワンマッチで決めたい」、バンナが「オレはトーナメント向きじゃない」などと発言したこともあり、敢えてGPに出場しないという選択肢を選ぶ者が当然出てくるだろう。PRIDEでは昨年のヒョードルや、今年の五味などがいい例だ。
もしかすると、主催者側はそれも考えていて、将来的なWGPの隔年化なども、すでに織り込み済みなのかもしれないが。
さて、あとは個々のカードについて。
余談だが、先の秋山の記事や、今回のタイトルマッチについても、それなりに必要と思って書いているわけだが、やはり試合を語るのが気楽で楽しいなあ。格闘技界は頑張って襟を正して、私がマット上に集中出来るようなシステム作りに取り組んでほしいものである(笑)。
シュルトVSセフォーは、リベンジマッチ。まあ1年以上経っているが……。これは連覇を遂げたシュルトと、ベスト8に残れなかったセフォーという昨年の成績を引き合いに出すまでもなく、先の対戦において完全に決着がついているとしか思えないカード。セフォーが伸びているとも思えないだけに、またサンドバッグにされて終わりそうだ。
ホンマンVSモーは、タイプ的には似ているが、もう少し噛み合うかな? ホンマンはローを蹴るタイプではないし、モーも脚を使う選手ではない。モーのパンチかホンマンの膝か……やはりホンマン有利か。とはいえ、ホンマンからダウンを奪えるパンチ力、というと、モーぐらいしか残っていないだろう。わずかながら期待。
武蔵VS藤本って……いったい誰が見たいんだ、この試合(笑)。日本のナンバー1と2の対決だが、二人とも昨年、アーツとホーストに絶望的なまでの差を見せつけられただけに、何の期待感もない。どちらが勝つにせよ、ハリVSカラエフの勝者の生け贄となってほしいものだが。技術的に見て、やはり武蔵の圧勝だろう。藤本はお付き合いで思いきりのないファイトをして、ずるずると判定負けしそうだ。
ハリVSカラエフは再戦となった。前回が不完全燃焼な内容だっただけに、今回こそ完全決着に期待。ハリはこういう飛び込んでくるタイプは苦手なような気がする……というより、蹴りで飛び込ませないでペースを奪うスタイルだからな。しかしグラウベの戦い方なんかは参考になりそうだ。
ハリッドVS天田は昨年札幌でやるはずだったカード。天田に一花咲かせて欲しい気持ちもあるが、ここはハリッドが総合力で圧勝か。ハリッドにもタイトルに絡んでほしいだけに。
アビディVS野田は、かつてのアビディVS堀と同じコンセプトかな。かつての切れを失い、パワー、スピード、テクニック、メンタル、どれを取っても中途半端な選手となったアビディは、新鋭の実力を計るにうってつけの相手か。野田はアビディではなく、かつてスター候補と言われた堀の影とも戦う事になりそう。
もう、2、3カードはあるかな? 残りの出場予定は……バンナ、グラウベ、ボンヤスキー、中迫、堀?
バンナVSグラウベ、ボンヤスキーVSグラウベ、どっちかだったら最高!
K-1新機軸その4 コミッション設立構想
この度の発表で、もっとも重要かつもっとも大風呂敷なのが、この構想。
はっきり言ってしまうと、これがないスポーツはもはやスポーツではない。「エンタメ性」とか何とか銘打ったプロレスごっこには、早く見切りをつけるべき。競技としての枠組みを確立すべきだ。
体重差のあるマッチメイク
キャリアに差があり過ぎるマッチメイク
短いスパンでの連戦
一部の選手に偏って有利な判定
露骨な反則
ドーピングの有無
八百長
どの試合がどれ、とかはいちいち言わないが、これらが平然とまかり通ってきたことは明白。個々の事例にはそれぞれ容認出来る余地もあろう。が、それらを「容認」するかどうかが、主催者側のあるともないとも言えん「良識」と、移り気で流されやすいファンの声にケースごとに左右されている現状は、まったくもって言語道断。
かっちりしたルールを決め、厳正な目で判断できる第三者に管理してもらう。第三者が管理しなければ、どこかで甘えが生じて曖昧になる。この談合天国のような日本では、あまりにも明白なことだ。
コミッションは絶対に必要です。石にかじりついてでもやって下さい。
その結果、色々なものを犠牲にすることになるだろう。スーパーヘビーにガオグライは参戦できなくなるだろう。相撲やシルムの選手は、最初はそういう選手同士でやることになるだろう。トーナメント自体、難しくなるかもしれない。武蔵は早々と姿を消すだろう。サップのような選手は、二度とリングに上がれない。突然、身体が小さくなる選手がいるかもしれない。勝負所で弱かった選手が、なぜか強くなるかもしれない。
華やかな話題はとぼしくなるだろう。今までのスター選手は、事実上消えていくだろう。ヘビー級の日本人は、試合に出ることさえ難しくなっていくだろう。ストップが速くなり、刺激に乏しくなるだろう。優遇を受けていたスター選手は、特権を与えてくれるところに移籍することだろう。視聴率は取れなくなるだろう。
だが、選手が無意味なリスクを負う機会は確実に減るはずだ。負傷を、KOのダメージを押して試合に出ることはなくなる。勝ち目のない危険な相手との試合を受けざるを得なくなることもなくなる。明らかな勝利を奪われるようなこともなくなる。フェアな勝負のために、練習で培って来たものを無にされることもなくなる。
そして何より「フェア」であるということは、誇りである。そのスポーツを愛するファンが、胸を張って「好きだ」というために、絶対に必要なことなのだ。
「八百長でしょ」
「見せ物でしょ」
そんなことを言われる必要がなくなる。神を信じる者。正直であることに、フェアであることに誇りを持てる者。そういった人間には絶対に支持されるはずだ。既得権益を持たない選手からも、必ず支持されるはずだ。
もっとも、コミッションがあるにも関わらず、ジムやテレビのいいなりで、不当判定がまかり通ったボクシングの例もある。そういった機関を作ったところで、何の意味もない。外国人を横綱にしたくない感情論ばかりの某審議委員会のようなものがあっても、同じことだ。公正な機関を作るということは、非常に難しい。まず「フェアである」ことに「メリット」が生じるようなシステムを考えて行かないと、あっという間にじり貧になるだろう。それには、やったもの勝ち、ばれなきゃいい、という価値観を根付かせてしまったこの国の意識を変えねばどうしようもないのかもしれないが……。
コミッション設立など、始まりに過ぎない。
世界中での門戸開放、キックルールや他競技との交流、競技人口を拡大し、誰もが参加出来るものとして格闘技を根付かせていく、ほんの第一歩に過ぎないのだ。こんなところでつまずいているようでは、そもそも未来などない。
まだまだ大晦日興行や、普段の興行もそれなりに視聴率を取っている。魔裟斗やKIDも何かと話題を集めてくれている。だが、いずれ……そう遠くないうちに限界は来る。余力がある内に、格闘技が、K-1がスポーツとして根付くように、100年続くものをこしらえて欲しい。
2007/02/15 21:58
(2) 0) |
2007/02/12
K-1新機軸その3 オリンピック構想と国別対抗戦
2011年開催! ……とまあ、大風呂敷を広げたものだ……。
http://gbring.com/sokuho/news/2007_02/0207_k-1_02.htm
ただ、いきなりサッカーワールドカップやらオリンピックのような規模を想像すると、確かに無茶だが、いきなりそういうイベントにはならない……というか、むしろ今現在の興行の延長線上に位置するものになるのではないか?
国別で5階級から一人ずつ代表選手を出し、対抗戦を行うということ。詳細はもちろん未定だろうが、例えば5vs5の団体戦方式か。
たとえば、日本代表。
スーパーヘビー 曙
ヘビー 武蔵
ライトヘビー 富平
ミドル 魔裟斗
ライト 山本KID
……まあ4年後はこんな面子にはならんだろうが、一例ということで。
対する優勝候補筆頭、オランダ代表。
スーパーヘビー シュルト
ヘビー バダ・ハリ
ライトヘビー スポーン
ミドル サワー
ライト ?
オランダの小さい選手に関してはよく知らないのだが、こんな感じのカードなら、今すぐにでも組めそうだ。これで5試合。もう一組やれるだろう。韓国VSフランスとか、面白そうではないか? これでも一日に10試合。第二日目、アメリカVSロシア、オセアニアVSドイツ。第三日目、タイVSクロアチア、ブラジルVS南アフリカ……。K-1ファンならば、各国代表ぐらい、いくらでも考え付くのではないか? タイ代表はガオグライがスーパーヘビーになってしまいそうだが。
トーナメント形式だと、3勝してスーパーヘビーに回らない可能性がありそうだが(笑)、リーグ戦ならば1勝=勝ち点いくら、という計算でやれる。箱など、興行の枠組みは何も変える必要がない。
問題があるとすれば、システムによっては試合全てを消化するのに何十日……今の基準でいくと何十興行もかかることだろう。おそらく、初期はそれほど大掛かりにはならず、せいぜい8ヶ国ぐらいでのトーナメントというところだろう。
だが、もしこの形式で何十ヶ国もが参加し、地域予選を勝ち上がった国が出てきて、本当に世界一のワールドチャンピオンを決められたら……。そしてそれが全てテレビ放送されたら……。上半期の国内の試合がすべて代表選考になったら……。MAXの日本人のトーナメントが、ミドル級の日本代表を決めるトーナメントになったら……。これは世界のどんな格闘技興行も凌駕するスケールのイベントになる。敢えて「国別」の勝者を競うことで、個人の強さを争うタイトル、WGPの価値観も守れる。
まあ、現時点では妄想に過ぎないし、代表の選考などシステムが作られ機能しない限りは、何もかもが絵に描いた餅だ。だが、勝敗に価値の見いだせないワンマッチを乱発したり、必要以上に過酷なトーナメントを続けることよりは、取り組む価値のある魅力的な形式だと思う。同じ一試合でも、システムによって付加価値を持たせれば、戦いの色合いや温度は一気に変わる。
これが実現し格闘技に対する遠心力が高まれば、大晦日イベントの役目もその時、終わるだろう。その時を期待して待ちたい。
2007/02/12 20:11
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2007/02/09
K-1新機軸その2 2007年の年間スケジュールと、3/4の追加カード
さて、今年のスケジュールも発表されましたが……。
■K−1 WORLD GP 2007年度シリーズスケジュール
3月4日(日)日本・横浜アリーナ
「K-1 WORLDGP 2007 IN YOKOHAMA」
初代スーパーヘビー級王者決定戦
4月28日(土)ハワイ・ブレイズデルセンター
「K-1 WORLDGP 2007 IN HAWAII」
USA GP、初代ヘビー級王者決定戦
6月23日(土)オランダ・アムステルダムアリーナ
「K-1 WORLDGP 2007 IN AMSTELDAM」
EUROPE GP
7月29日(日)香港orマカオ
ASIA GP
8月11日(土)ドイツorラスベガス
世界最終予選
9月下旬 韓国・オリンピック第1体育館
「K-1 WORLDGP 2007 IN SEOL 開幕戦」
12月上旬 日本・会場調整中
「K-1 WORLDGP 2007 決勝戦」
はわあああ〜っ、大阪で開幕戦やらないのかよう(涙)。うっ、うっ、今年こそイグさんが復活するかもしらんのに。
ふんっ、これはますます9月は横浜だな……。
予選大会は4大会に減り、代わりにヘビー&スーパーヘビー王者のエントリーが決定。
開幕戦出場者は、予選王者4人と昨年ベスト8、各階級王者2人、主催者推薦、ファン投票1位の合計16名。重複があった場合はファン投票から複数選ばれる。
現時点での確定は、引退したホーストを除くと、
シュルト
アーツ
グラウベ
ボンヤスキー
レコ
バンナ
カラエフ
ハリッド
……の8名。しかし、こう大仕掛けになってくると、このシステムも今年が最後かもな〜。
重複と書いたが、
<K−1スーパーヘビー級初代王者決定戦 K−1ルール 3分3R・延長2R>
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォーファイトアカデミー)
こちらの試合もタイトルマッチに決定。アーツ様を差し置いてどういうことだ、という感じだが、シュルトで鉄板だから別にいいか。仮にセフォーが勝っても、人気選手に開幕戦出場権が転がり込むだけで、別に何も問題はないわけだ。
それよりも、予選が減ってるのが気になるな。例年以上の壮絶な潰し合いになりそうだ。もう敗者復活はなく、きっちり32人エントリーでいいんじゃないか。ジャパンが完全に消滅したのは良い事だし、オセアニアがなくなったのは悲しいな。開幕戦が韓国というのも……。今までのソウル予選のあまりのひどさに「これを韓国の人にK-1と思われるのは悲しい」と書いた事がある。それが今回、初めて開幕戦が韓国でやる、ということで、いやあ韓国のファンの皆さんは良かったねえ……くく……(涙)。
さて、おまけで3月の追加カード。
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
堀 啓(日本/チーム ドラゴン)
アレキサンダー・ピチュクノフ(極真会館)
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
中迫 強(日本/ZEBRA244)
ザビット・サメドフ(ベラルーシ/チヌックジム)
はっはっは、 こないだから ハリビーさん と、ずーっとサメドフサメドフ言ってたが、マジに参戦! これは楽しみだ。これで今までならイグさんの居場所がなくなるのを心配してたところだが、これからは階級が違うからな。充分住み分けが可能だ!
そしてピチュクノフも、満を持して登場。今年は本戦に絡むべく、まずは生け贄を平らげてほしいね。
一つ希望を出したいのは、こういうタイトルと絡まないワンマッチでも、きっちり契約体重を明記してほしいということ。中迫なんかは減量してヘビーでやるのか、それとも体格を維持して、やや軽量のはずのサメドフと「無差別」でやるのか。ここらへんは常にはっきりしておいてもらいたいところだ。
以下続く予定。
その3 オリンピック構想と国別対抗戦
その4 コミッション設立構想
その5 HERO’Sはこの流れに乗るのか?
2007/02/09 00:01
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2007/02/07
K-1新機軸その1 階級増とタイトルマッチ構想
いや〜、こないだのタイトルマッチ発表から、ちょっと匂いはしてましたが……てっきり数年かけてゆっくりやるかと思ってたね。
そんなわけで、新機軸の発表です。一口に新機軸と言ってますが、今回の発表は密度が濃過ぎて、頭が混乱しそうです。
ちょっと整理します。
まずはタイトルマッチから。
階級別タイトルマッチ制定
1.スーパーヘビー級(オーバー100キロ)
2.ヘビー級(アンダー100キロ)
3.ライトヘビー級(アンダー85キロ)
4.ミドル級(アンダー70キロ)
5.ライト級(アンダー60キロ)
今まで2階級だったものが、一気に増えた! ヘビーが二つに分かれたぐらいでは別に驚かなかったが、ライトヘビーとライトの増設は驚きである。当然だが今までの中間層ということで、見られなかった強豪選手が一度に集結するわけだ。
特にライト級は……日本のキック団体からはもちろん、タイからも強豪が出てくるだろう。小規模興行では実現出来ないビッグマッチの実現に期待したい。大宮司VS竹村とか(笑)、代理戦争とか言って今すぐにでも煽れそうである。とはいえ、国内キックの熱も奪わぬように、あくまでK−1ルールの大会としてそれに相応しい選手をピックアップし、無理に名前だけで集めないようにしてほしいものだが……。
余談だが、
http://gbring.com/sokuho/news/2007_02/0207_rise.htm
去年から始まったこのトーナメントも、優勝者はDOAと同じくK-1参戦か。何かのはずみでファイヤー原田あたりがお茶の間に登場したら面白いな(笑)。
ライト級の気になるイベント名はやはり噂の「K-1SPEED」か? まあいきなり人気はでないだろうし、MAXと切り離して最初の内は、数千人クラスの会場で地道にやっていけばいいのではないかな。層の厚さでは他の階級以上なわけだし。例えば、いきなり地上波がつかなくともいいのではないか。放送があるにしても決勝大会のみとか、あまり大きくぶち上げずにじっくり構えてほしいものである。まずは、ライブで来るお客が楽しめるように。地方興行も交えて、テレビ主導でない、視聴率が取れなくとも成立する興行を。
で、あと気になるのは、実はMAX。現在はトーナメントで王者を決めているが、これに加えてMAXでも階級別のタイトルを作るということになる。これはおそらく、今年のトーナメントを終えて、大晦日も含む来年以降の話になるかな? ブアカーオが連覇を達成すれば、当然、彼を軸に、サワー、魔裟斗、佐藤あたりが絡んで行くだろう。トーナメント偏重で、ワンマッチでは調整試合のような感覚で臨む選手が増えていたが、またこれで新たな熱気が生まれるかもしれない。
こちらは完全にテレビコンテンツになっているのだから、華々しくやりましょう。PRIDE方式で、4人制トーナメントプラス別階級のタイトルマッチ、という大会もありかな?
トーナメントとタイトルマッチが並んだ場合、テレビ放送で心配なのは、両方ともきっちりと放送されるか、ということ。生中継があれば理想的なのだが、フジはともかくTBSにはそこまで期待できない感じ。コンテンツとしての魅力が増せば、放送枠は増える。それは当然のことなんだが、階級増しても視聴率には関係ないだろうからな。
お笑い路線をなくして、スポーツとして競技性を増していこうということは素晴らしいが、苦しい時代が続くかもしれないし、最悪、全てが企画倒れに終わるかもしれない。だが、それでもこれはチャレンジすべき課題である。私は断固、支持したい。
以下続く予定。
その2 2007年の年間スケジュールと、3/4の追加カード
その3 オリンピック構想と国別対抗戦
その4 コミッション設立構想
その5 HERO’Sはこの流れに乗るのか?
2007/02/07 20:47
(4) 0) |
2007/01/26
2007/3/4 K−1 WORLD GP2007 横浜 タイトル新設!
2007年のWGPシリーズの初戦は、ワンマッチ大会。それに加えて、
スーパーヘビー(100キロ超)級
ヘビー(100キロ以下)級
2タイトルの設立が決定した。
その挑戦者決定戦も含め、6カードが発表。
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォーファイトアカデミー)
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
チェ・ホンマン(韓国/フリー)
マイティ・モー(米国/シャークタンクジム)
<K−1ヘビー級(100キロ以下)タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R・延長2R>
武蔵(日本/正道会館)
藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
<K−1ヘビー級(100キロ以下)タイトルマッチ挑戦者決定戦 3分3R・延長2R>
ルスラン・カラエフ(ロシア/フリー)
バダ・ハリ(モロッコ/ショータイム)
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
ハリッド“ディ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデングローリー)
天田ヒロミ(日本/コシ・トラスト)
<K−1ルール 3分3R・延長2R>
シリル・アビディ(フランス/ブリゾンジム)
野田 貢(日本/シルバーアックス)
まずタイトル新設について……まあ、要はPRIDEの逆パターン(笑)。グランプリ中心で回して来たものの、東京ドームの決勝大会のブランド力こそ衰えなかったとはいえ、そこにいたるまでの予選大会の求心力が低下。全戦トーナメントという過酷さが、有力選手の脱落、スター候補の伸び悩みを招いた。セーム・シュルトの君臨により、どう頑張っても100キロを切るような選手に優勝の目はない。同じくレベルの向上によって、日本人にも優勝の目はない。よって、スター候補生と日本人がもっとお手軽にタイトルを取れるようにしよう……そういうことですな。
藤本は保険のようなものとしても、武蔵、ハリ、カラエフ、誰がタイトル取っても損はしないように、最初から仕掛けているのは間違いない。さすがにこの四人はちょっとないなあ。レコやハリッドあたりも加えてほしいし、100キロ以下に絞って進化してくる選手が、まだ他にいるかもしれない。設立してすぐだからこそ、こういう近視眼的な組み合わせは勘弁してほしい。
まあそれが無理なら、今後のタイトルマッチ自体は回転を速くし、旬の実力者がすぐに挑戦出来るようなシステムを取って欲しい。
ただ、階級増には、基本的に賛成の立場を取りたい。シュルトやホンマンが規格外というのもあるが、そうでなくともスピーディーさとパワーを兼ね備えた選手が減り、ベテラン選手の省エネ一発狙いが功を奏するシーンが近年増えていた。MAXにあやかって、もっと速さと技術を見せる試合が増えてほしいものだ。
あとは、タイトルマッチを組み込むことにより、ワンマッチが活性化することにも期待。ランキングを設定すればよりいいのだろうが、ワンマッチを制していくことによって、タイトル挑戦の機会がつかめるようになれば、今まで予選トーナメントのおまけ程度の扱いであったワンマッチにも、それなりに意味が生まれてくる。
ただ、心配なのはタイトルマッチ新設による、現行のWGPシリーズの形骸化。かつてミルコが「ホーストとワンマッチで決めたい」、バンナが「オレはトーナメント向きじゃない」などと発言したこともあり、敢えてGPに出場しないという選択肢を選ぶ者が当然出てくるだろう。PRIDEでは昨年のヒョードルや、今年の五味などがいい例だ。
もしかすると、主催者側はそれも考えていて、将来的なWGPの隔年化なども、すでに織り込み済みなのかもしれないが。
さて、あとは個々のカードについて。
余談だが、先の秋山の記事や、今回のタイトルマッチについても、それなりに必要と思って書いているわけだが、やはり試合を語るのが気楽で楽しいなあ。格闘技界は頑張って襟を正して、私がマット上に集中出来るようなシステム作りに取り組んでほしいものである(笑)。
シュルトVSセフォーは、リベンジマッチ。まあ1年以上経っているが……。これは連覇を遂げたシュルトと、ベスト8に残れなかったセフォーという昨年の成績を引き合いに出すまでもなく、先の対戦において完全に決着がついているとしか思えないカード。セフォーが伸びているとも思えないだけに、またサンドバッグにされて終わりそうだ。
ホンマンVSモーは、タイプ的には似ているが、もう少し噛み合うかな? ホンマンはローを蹴るタイプではないし、モーも脚を使う選手ではない。モーのパンチかホンマンの膝か……やはりホンマン有利か。とはいえ、ホンマンからダウンを奪えるパンチ力、というと、モーぐらいしか残っていないだろう。わずかながら期待。
武蔵VS藤本って……いったい誰が見たいんだ、この試合(笑)。日本のナンバー1と2の対決だが、二人とも昨年、アーツとホーストに絶望的なまでの差を見せつけられただけに、何の期待感もない。どちらが勝つにせよ、ハリVSカラエフの勝者の生け贄となってほしいものだが。技術的に見て、やはり武蔵の圧勝だろう。藤本はお付き合いで思いきりのないファイトをして、ずるずると判定負けしそうだ。
ハリVSカラエフは再戦となった。前回が不完全燃焼な内容だっただけに、今回こそ完全決着に期待。ハリはこういう飛び込んでくるタイプは苦手なような気がする……というより、蹴りで飛び込ませないでペースを奪うスタイルだからな。しかしグラウベの戦い方なんかは参考になりそうだ。
ハリッドVS天田は昨年札幌でやるはずだったカード。天田に一花咲かせて欲しい気持ちもあるが、ここはハリッドが総合力で圧勝か。ハリッドにもタイトルに絡んでほしいだけに。
アビディVS野田は、かつてのアビディVS堀と同じコンセプトかな。かつての切れを失い、パワー、スピード、テクニック、メンタル、どれを取っても中途半端な選手となったアビディは、新鋭の実力を計るにうってつけの相手か。野田はアビディではなく、かつてスター候補と言われた堀の影とも戦う事になりそう。
もう、2、3カードはあるかな? 残りの出場予定は……バンナ、グラウベ、ボンヤスキー、中迫、堀?
バンナVSグラウベ、ボンヤスキーVSグラウベ、どっちかだったら最高!
2007/01/26 00:01
(5)
2006/12/04
2006/12/2 K-1WGP2006決勝 試合感想
くそっ! このレポ自体は放送終了後に2時間ぐらいで書き上げたんですが、またネットがつながらなくなってました。
別に熱を失ったわけではありません。
いやねえ、毎年色々と予想はしますけど、まあ今年は予想だにしない展開の連続で、結果がわかってた中にもドラマがある、そういう感じでしたね。
今年初めてスカパーで決勝戦通して見て、やっぱり良かったですわ。
では、試合の感想です。
<スーパーファイト(リザーブファイト1) 3分3R延長1R>
ピーター・アーツ(オランダ/チーム アーツ)
武 蔵(日本/正道会館)
何かといやあな予感がする試合ってのはあるよね。対戦成績をアーツに対して一勝一敗としている武蔵、今年はここまで3連敗と後がないながらも、リザーブファイト進出に一縷の望みを託して乗り込む……。2003年、2004年と展開されたSIOの侵略は、未だにK−1ファンに大きなトラウマを残していて、わずか1パーセントでも可能性が残っているなら、
「バラバラにしてやっても……石の下からミミズのように這い出てくる……」
ような気がして仕方がない。好調好調とは言いながらも、やはり衰えの見えるアーツ先生。武蔵のミドルで失速してしまうんじゃないかと心配していたんですが……。
出だしから好調らしいアーツ。パンチからローに振るコンビネーションで勝負。ローは相変わらず重そうで、パンチもよく伸びている。最初から右ストレートが武蔵の顔にヒット! 武蔵は下がって追い打ちを許さないが、相変わらず手は出ない。アーツはコンビネーションをまとめて攻め込む。武蔵はさすがに追い打ちの膝は下がってかわしているが、反撃の糸口がない感じ。しかしいくら手数がなくても判定はねえ……と思いかけた1ラウンド終盤。頭を下げてかわすフォームを取っていたはずの武蔵に、暴君の右拳が直撃!
出た! 日本最強の武蔵が、まるで堀啓のようにバッタリ! えええええええ、と絶叫も束の間、2005年以降のニュー武蔵はここからゾンビのように立ち上がる。恐るべきタフさ……だがそのタフさをも飲み込むアーツ先生のフラストレーションラッシュが棒立ちのSIOを粉々に粉砕!
うーん、なんというか、ようやくK−1が正常化しましたね。ニセモノは叩き潰され、消え去る。これがあるべき姿ですよ。これでこの後、安心して楽しめるな。とまあ、相変わらず毒を吐いてますが、今日は久々に武蔵が気の毒になりました(笑)。練習して強くなった、もう二度とあんなことはない……そう思っていたのに、2000年のセフォー戦ばりの惨敗の再現。
しかしワンマッチで武蔵をKOとは、アーツ恐るべしですな。トーナメントに出ていれば……と、この時は思ったのだが、事態の急転はこの後に待ち受けていたのだった……。
▼第2試合 FieLDS K-1 WORLD GP2006 準々決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
VS
ジェロム・レ・バンナ (フランス/Le Banner X team TEAM)
いきなりの最注目カードということで、期待度も高い。やはりシュルトさんの猛攻をかいくぐって、バンナがどう入って行くかが焦点か。しかし今日のシュルトさんは進化ぶりが明らか。開幕戦では見せるまでもなかったが、近距離でのパンチの精度が目に見えて向上している。接近しても膝警戒以上に、細かいフックに気をつけねばならない。それでもパンチを出してきた時がバンナ最大のチャンスなんだが……。
そして2ラウンド、やや動きの鈍ったバンナに、シュルトのハイキックが直撃! いや〜顎の部分は押さえてたんだけど、ぜんぜん軌道が違ったよ。もろに当たってしまった。これでダメージ、ポイント共に取られ、バンナ完敗!
「試合直前まで主役」という毎年のパターンに、今年も見事にはまってしまった。「どうせ脇役」の映画になんか出てるからだ。
▼第3試合 FieLDS K-1 WORLD GP2006 準々決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
アーネスト・ホースト(オランダ/チーム ミスター・パーフェクト)
VS
ハリッド“ディ・ファウスト”(ドイツ/ゴールデングローリー)
いくらなんでも開幕戦のコンディションとは違うだろう、という願望混じりの予想は、決して裏切られなかった。ホースト、絞れてるよ! しかし出だし……ローが遅い! 今にもパンチもらいそう! あああああ〜ダメだダメだまずい……! だが、ローキックはきっちり効いてきたらしく、ハリッドは踏み込みが足らない。ホーストはハイキックも出して、プレッシャーをかける。
2ラウンド以降、じょじょにペースが変わる。いや、ホーストの動きが変わる。リーチを伸ばしたワンツーで飛び込み、ハリッドが思わずガードを固めたところで、ガードの上からショートフックの連打。ローは左右に増え、フックは距離感プラススウェーでかわす。追い打ちで密着してのボディへの膝……。全盛期の動きではない。かつてはもっと早く、正確で、力強く……でも、でも、それでもこれはホーストなのだ! 開幕戦で、もう二度と見られないのではと思わせられた、あのホーストが、最後の最後である今日、帰ってきたのだ!
果たして、ハリッドの手数は止まる。あの武蔵を翻弄したステップバックで、パンチの連打だけはくらわない。だが、それだけだ。有効打を重ねるのはホーストだ!
2、3ラウンド、ホーストが取ったと思ったが、勝負は延長に。おいおいジャッジ、どこ見てんだ〜と思ったが、ホーストの表情は変わらなかった。その瞬間、オレもはたと気付いた。そうだ、たとえこれがミスジャッジだとしても、もはや構うまい。もう1ラウンド長く、ホーストの試合が見られるのだ。展開は変わらない。いや、形勢は着実にホーストに傾いていく。距離感、リーチ、体格差、長所とは言い切れない部分まで、ありとあらゆる自分自身の肉体と技術を駆使し、ホーストがハリッドを封じ込む。延長の判定を聞くまでもない。ホーストの完勝だ。
今日の勝因は得意のボディブローを捨てて、ハリッドのパンチの距離を徹底的に避けたことだろうか。それでいて胴には膝とミドルを徹底的に集めて代用してみせた。これこそがホーストだ。戦いはまだ続く。
▼第4試合 FieLDS K-1 WORLD GP2006 準々決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館)
VS
ルスラン・カラエフ(ロシア/マルプロ)
まあ何かと思い入れ深い試合に続き、純粋に勝負論として興味深い試合があるんだから、K−1も今は今でいい時代だなあ、と思うのである。
新鋭カラエフ、今回の作戦は……いつもどおり速攻! パンチのコンビネーション、バックスピン! 一瞬、グラウベもパンチを浴びてガードを固める。強烈なローを返すグラウベだが、カラエフもやや出入りの距離を遠くして対処。さらに速攻! 本気でこれで勝つ気なのか正気を疑ってしまうぐらいだが、やっぱりカラエフ最高です。
しかし決着は突然に。ノーモーションで抜かれた一刀、ブラジリアンキックがカラエフの脳天を直撃! 棒立ちになったところをパンチの連打! スタンディングダウンを取られたカラエフは、眼の焦点が合わずに試合を止められた。
うーん、ガードしようとしてたんだが、ブラジリアン独特の軌道で、完全に上から来てたよ。対策をしてなかったとは思えないが、いつもの癖で反射的に普通のハイのガードをしてしまったかな。
しかしグラウベつええ。これは今年も決勝かな?とこの時は思ったのだが……。
ここでレミー対レコなんだが、開始早々、レコさんのローが金的に入り、レミー悶絶! 中断して先に次の試合をやることに……。
<スーパーファイト(リザーブファイト2) K−1ルール3分3R延長1R>
レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォーファイトアカデミー)
メルヴィン・マヌーフ(オランダ/ショータイム)
うーむ、さすがに体格差がありすぎたか。セフォーはガードも固めて慎重だったが、マヌーフは近距離で頭頂部付近に当たったフック一発が完全に効いてしまった。 うーん、だから総合の選手はセフォーには勝てないって。
▼第5試合 FieLDS K-1 WORLD GP2006 準々決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
レミー・ボンヤスキー (オランダ/チームボンヤスキー)
VS
ステファン・“ブリッツ”・レコ(クロアチア/ゴールデン・グローリー)
せっかく中断したにも関わらず早く終わりすぎ、再び入場したレミーの顔色は相変わらず最悪。しかも再開早々、レコさんのバックキックがまたも金的に直撃! いやあ、実況は「なんということでしょう!」とか言ってたけど、ぶっちゃけ2連発って普通によくあるよね。レミーはあきらかにやばい感じで、実況は「息子のため」とか言ってたが、正直無茶だ。再びインターバルで、レミーの脚の痙攣が収まらなければレコさんの反則負けだそうである。
かつてレコさんと言えば、グレコの「アカデミー賞ものの演技」(レコさん談)により一回戦敗退を喫した苦い思い出があり、片やレミーも演技演技と言われたサップ戦の反則勝ちあり。うーん、一回戦、ここまで盛り上がってきたのに、これで終わってしまうのか……しかし今日は色々なものが見られる日だな……と思っていたのだが、レミーが立ち上がり、なんと再開。
吐きそうな顔のレミーは、再開直後からミドル、ハイを飛ばす。
ゴールデングローリーのセコンド
「あいつ……まだやるぜ!?」
しかしさすがに勢いが落ち、終盤はレコさんのパンチを受ける場面も。パンチに対してはいつものビビリファイト全開のレミー、ガード固めすぎだよ!
が、が、が、何が功を奏すかわからないもので、固め過ぎのガードの上をポイント稼ぎのコツコツパンチで殴ってしまうレコさん。レミーはさほどダメージがない。がら空きのボディ狙いのバックキックはステップで距離をずらし、なんとか決定打はもらわない。だが、減点で1ポイントは取っているものの手数の止まったレミー。2ラウンドは攻め込まれる。しかし2ラウンドラスト一分、完全に動きが止まったかと思いきや、さらに残り30秒、突然の反撃開始! 2004年決勝最終延長、ラウンド開始1分何もせず体力を回復させ、息の上がった武蔵を圧倒したあの展開を思い出した。
それでもポイントはレコかと思われ、3ラウンドも取られたら万事休すか……と想像された。レミーは蹴りで必死に対抗。時折パンチのコンビネーションも交える。それでも手数はレコ……と思ったその時、脚を止めてのコツコツパンチからローにつなげたレコの顎を、ボンヤスキー独特の打ち下ろしパンチがカウンターで直撃! 目を泳がせて崩れ落ちるレコさん。下からの膝に意識がいっちゃってたね。
判定に入り、大差でレミー。うーん、なんというか……レコさんが優勝出来ないわけが、この試合にすべて凝縮されていたような気がする。散々こき下ろしていたレミーのパンチに沈められるあたり、運とかそういう言葉では片付かない勝負弱さというか……。そして、レミーが2度も王者になったわけも、この試合に詰まっていたのではないか。2004年準決勝でボタを下した「いつもの魔法」復活、そして二度の金的にもめげない精神力……素晴らしかった。来年こそ、本当の復活の年にしてほしい。
レコさんは、技術が向上したことで、KO狙いよりも判定で勝つスタイルに変えたと思われる。ガードの上からコツコツ叩く、マクドを倒したパンチの連打がその一つだ。だが、今日の試合ではレミーにダメージを与えられず。2001〜2003年に多用した、後頭部気味にステップインしながらねじこむフックの連打の方が有効だったのではないか。レコさんは下がると弱い、とは常々思っていたが、カラエフ戦で露呈した打たれ弱さは、足を止めても弱いという新たな事実に直結していた。ハリッドに続き、今回はゴールデングローリーの作戦ミスだろう。
▼第7試合 FieLDS K-1 WORLD GP2006 準決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
シュルト
VS
ホースト
通算三度目の激突。しかし年々衰えて行くホーストに対し、シュルトは進化し続けている。もはや勝ち目はなかったのかもしれない。だがこの時、ホーストの胸中にあったものは、勝つ事ではなく、ただ残された9分間リングに立ち続ける事、一つでも多く手を出し、一つでも多くの技を出す事、そう言ったことさえ超えて、「リングで戦う」ということ自体への澄み切った本能のようなものではなかったのではないか。
ホーストは挑む、勝ち目のない戦いに。展開は先の大晦日と変わりない。接近して攻めるホースト。迎え撃ち、距離が開けば蹴りを出すシュルト。だが、ホーストの動きはあの時よりもむしろ軽く見える。その証拠に、見よ、あの日に沈められた前蹴りと見せかけた膝、あの技を、今日は間一髪でかわした。経験……ホーストが常々言い続けてきた言葉だ。それが、今日もホーストをリングに立たせている。
終盤、さすがに動きの鈍ったホーストを、ボディで圧倒するシュルト。あと30秒、あと29秒、あと少し、正真正銘、これで最後……その時巻き起こった、観客席の大ホーストコール。今コールしても、結果が変わるわけではなかろう。でも、もう終わりなのだ。ここで呼ばねば、もう二度とホーストの名を呼ぶ機会はないのだ。
ゴングが鳴った。判定はシュルト。
だが、結果などどうでもいい。エキシビジョン的な引退試合では感じられない興奮が、確かにこの試合にはあった。今日、この日を、私は決して忘れない。
▼第8試合 FieLDS K-1 WORLD GP2006 準決勝 K-1ルール 3分3R延長1R
グラウベ
VS
アーツ
勝ちはしたが金的のダメージでボロボロのレミーに代わり、レコさんが準決勝進出かと思われたのだが、なんとそのレコさんも足を痛めて棄権。
代わりに第一リザーバーの……。
三宅アナ
「ちょっと待って下さいッ! ふ……藤原紀香さん!」
「今気づきましたが、お……驚きましたッ!」
「選手入場口を良く見ると……あれはッ! あの選手はッ!」
「まさか信じられないッ! リザーバーだったはずだッ! 彼はッ!」
「アーツだァァァーッ、アーツがいるッ、あれはピーター・アーツだあああーッ」
「開幕戦、ウイルス性疾患で欠場した20世紀最強の暴君が、ここでキチッ!と準決勝に出て来ている」
「どうやってここまでコンディションを戻したのかッ! いつの間にかしっかりと武蔵までKOしているッ!」
「リングに上がったぞッ! アーツが出るッ! 準決勝はおろかさらに決勝にまで勝ち上がろうとしているぞッ!」
うーん、このSBRネタにはSIOの方が都合がいいんだけど、アーツの劇的な復活。これで今年も記録更新ってマジで!?
絶好調アーツさん、グラウベには一度勝っているし、えらいことになった。
しかししかし、1ラウンド、ブラジリアンキックが掠め、アーツはいきなり足下が怪しい! 完全にグラウベペース、武蔵さんは倒せてもやはり本物に進化したグラウベは強い。幸運もここまで、バンナ、ホーストに続き、伝説はここで完全に粉砕されるのか……と思われた。
だが、第2ラウンド、強引にラッシュを賭けたアーツの右フックがテンプルに当たり、グラウベの動きが止まる。さらに手を休めずフック、膝、ボディブロー! 負けん気を見せてパンチを返したグラウベ、これが仇となり逆に強烈なフォローのパンチを浴びる。まるで勢いを止めないアーツ、再び強烈な右ストレートを叩き込み、追い打ちの左でついにダウンを奪う! 立ち上がったグラウベだが、完全に目つきが怪しく、ファイティングポーズを取れない。そのままストップ!
武蔵に続いてグラウベまで撲殺! 恐るべしアーツ、ダメージを蓄積させるパンチの重さと的確さに関して言えば、98年頃よりももしかすると上ではないか。
……なんてことだ、としか言えない。勝って余裕の表情のアーツ。なんなんだ、このオッサンの強さは。
<スーパーファイト K−1ルール3分3R延長1R>
バダ・ハリ(オランダ/ショータイム)
ポール・スロウィンスキー(オーストラリア/ファインダーズ ユニ ムエタイジム)
空気読んだバダ・ハリが決勝前にきっちりトイレタイムを作り、王者二人に回復の時間を提供……という試合。
試合はリーチ差を生かしたハリが、左ジャブを当てて終始リード。スロウィンスキー、リーチ短過ぎだよ。ローはそこそこ効いていたんだろうが、いかんせん3ラウンドではなあ。ハリも大口を封印して勝ちにきたかな。まあこれはこれでよしだろう。
▼第10試合 FieLDS K-1 WORLD GP2006 決勝戦 K-1ルール 3分3R延長2R
シュルト
VS
アーツ
一番強い者が必ずしも優勝するとは限らないが、なんだかんだ言って優勝者は圧倒的に強い選手の一人、というK−1GPの大原則を思い出した試合。結局、決勝で激突しているのは昨年王者と今年もっとも調子の良かった元王者……これが予定調和なのか。
ホンマン欠場で偶然に近い形で組まれ、番狂わせで「絶対王者」の価値を下落させてしまったシュルトVSアーツは、谷P自ら「マッチメイクの失敗」と言っていたが、それがここに来て生きてくるのだから、何が起こるかわからない。
シュルトさんにしてみれば、一回戦はうっとおしいバンナ、準決勝はしつこいホースト。これをかわして、まあ決勝はヨタボロの奴が上がってくるだろう……と思っていたら、ここで最悪の相手。やっぱり楽はさせてもらえないんだなあ……。
まだゴング鳴ってないのに殴りにいくアーツ先生、36歳だとか何とか言って、かつてのがむしゃらさはなくなった……とか言われたり、また本人も言ってたりするんですけど、ホーストの執念同様、こういう地の性格ってのはいくつになっても変わらないんですね。
さしものシュルトさんもパンチを浴び、ローには足が流れる。並の選手ならここでまたも撲殺されていただろう。あるいはオセアニア大会の二の舞になっていたかもしれない。だが、あの屈辱をバネに進化していたシュルトは、近距離でのパンチを磨き、距離を取るステップを身につけ、パンチの決定打を許さない。逆にボディへの前蹴りでアーツに膝をつかせる。
それでも決してあきらめないアーツは、なおも前にでてパンチ勝負を挑む。この場にたどり着いたこと、それ自体が奇跡だった。もう一つは起きなかった。だが、その凄まじい闘志は最後まで折れず。
判定はシュルトの完勝。だが、試合内容はポイント差よりも遥かに接戦だったことは間違いない。
結果はシュルトの2連覇という、誰もが予想したものだった。だが、そこに到るまでの数々のドラマが大会の密度を濃くし、今年最後の戦いに賭ける選手の闘志が試合を熱くした。それによって、シュルトの連覇へのハードルは高くなり、結果としてその価値はより高まったと言えるだろう。しかしバンナ、ホースト、アーツが三人がかりでも止められずか……これは来年も……。
今年初めて、一年通してノーカットで見てきましたが、今までの何倍も楽しんだね。そして、今年は一年の流れがうまくこの決勝に直結したんではないか。逆に言うなら、一年通して線としてみなければわからない面白さがあったと思う。今日の大会だけでも、
日本人惨敗
技術を駆使しての判定勝ち
秒殺
金的
不屈の精神力
英雄の引退試合
リザーバー勝ち上がり
大逆転KO
塩試合
絶対王者二連覇
……とまあ、K−1で起こるイベントのありとあらゆるバリエーションが見られたような気がするぜ。
格闘技界を覆うネガティブな空気は未だに変わりませんが、来年もぜひとも楽しんで行きましょう
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