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UFC 過去ログ

ショーグンVSグリフィン

軽量級と見紛うような物凄い運動量の試合、スタミナ切れを起こしたのはPRIDEGP王者ショーグン!

ミルコ、ファブ、ショーグンと体格差のある相手を容赦なく当てられてる感じだが、今回もポテンシャルの違いを見せつけられてしまった。スタンドでは動かれて捉えきれず、テイクダウンはするものの、きっちり対応されていい場面を作れず。1ラウンドはグリフィンも防戦に回り、展開は五分、条件は変わらなかったはず。
だが、2ラウンドに突入して、差がつきはじめる。ショーグンも大振りの肘を当てたが、細かいパウンドとエルボーの精度が段違い。スタミナが切れてもらいはじめたか、細かいのをもらい続けたせいでスタミナが切れたか、ショーグンは口を開け、下になった時点で露骨に嫌がった表情を見せる。
3ラウンドに突入し、消耗しながらもまだ動いてくるグリフィンと足の止まったショーグン。テイクダウンは決まるだけに、なんとかこのラウンド、上でポジションをキープすればまだチャンスはあるかと思ったのだが、それもかなわず。最後はバックを取られ、パウンドを浴びて亀になったところをチョークでタップアウト。

いやもう、衝撃的な敗戦だったが、ポカ負けという感じではなく接戦で確実に差をつけられていった展開だけにショッキング。
まずスタンドのスキルが違い過ぎたし、追い足がないからパンチも膝も届かない。スタンドで捕まえられないから狙ったテイクダウンだけに、倒された時点でグリフィンが対応の準備をしてしまっている。さらに、そのグラウンドの展開もグリフィンがむしろ望むところ。ショーグンは柔術テクも不発で、ポジションも取れない。リーチ差が効いてパウンドもガンガン当たる。途中から本当はニンジャなんじゃないかと思ってしまった。

ルールとオクタゴンに対応できてない、なぜか身体が縮んでる、スタミナなし、精神力なし、体格差なし。デビュー戦のショーグンと、復帰戦勝利後のビッグマッチとなったグリフィンでは勢いも違ったか。さらにアウェーのムードにも飲まれたか。シウバ離脱、ニンジャ敗北も影響したか。中村がいいとこなく完封されてプレッシャーがかかったか。
敗因はいくらでも並べられるが、結局はUFC選手としての実力差があったということでしかない。
その中でも、やはり競った試合での精神力の弱さが露呈してしまったのが残念。ミルコもそうだったが、かわされ、手こずることはあっても逆に攻め込まれる場面を経験していなかったのがそのまま、TUF以降、ルーキーとして同格以上の相手と凌ぎを削ってきたグリフィンとの差になったんではなかろうか。大接戦だったホジェリオ戦は遥か昔、奢れる将軍はマットを舐めた。

だが、もちろんこれで終わったわけではない。再び腕を磨き、這い上がればいいだけのことだ。戦う意志があるなら、どんな選手であろうがそうする。それだけのことだ。残念ながら体重差のある日本人などは当ててもらえず、次も相当に厳しい相手を迎えることになるだろうが……それも考えれば当たり前のことだよなあ。
UFCに金魚マッチはない。あるのは限りなく接近したレベルの選手同士の、身を削るような凌ぎあい、薄氷を踏むような勝利だけだ。それは王者経験者のタイトル防衛の少なさにも現れている。

ミルコ、ショーグン惨敗というここんとこの結果という「現実」に、キャラクターやら煽りやらの先行するPRIDE、HEROS、K-1といった日本のメジャー格闘技の嘘っぽさがほとほとバカバカしくなってくる。本当のトップどころはそれはハイレベルな戦いには違いないんだろうが、一時は強くとも、スターシステムに守られた選手がどこまでその強さを保ち続けられるか、敗れた時にモチベーションを取り戻し、その経験を強さに変えることができるか。甚だ疑問に思えてくる。
メッキをかぶった超人幻想など、もう必要ない。

ショーグンは、ミルコは、シウバは、「PRIDE」を捨てて這い上がれるのか?
敗北は恥ではない。「絶対王者」が敗れることはあり得なくても、選手が、人間がいつか敗北するのは当たり前のことだ。絶対などない。判定負けしてもいい。だがせめて弱々しい姿をさらすことなく、最後に誇りを持って両手を挙げられるような、そんな試合をしてほしい。まだ我々が応援する価値があることを見せてほしい。

ミルコ VS コンゴ

相変わらず日本では放送されないUFCだが、細々と動画を見る。

あちゃ〜、ミルコさんやっちゃったな……。

1ラウンドはケージ際でマウントも取って攻勢だったのだが、2ラウンド早々に下がり始めたので愕然。1ラウンドのプレッシャーは確かに完全には機能してなかったが、それでもポジション取ったのはその攻勢があったから。踏み込んでのミドルは悠々と裁かれ、布石なしのハイキックは空振り。頼みの綱のパンチはバックステップとリーチ差に阻まれ、逆に被弾が多くなる。

シークはミルコに寝技のスキルもなく、タックルもないのがわかっているから思いきり良く右ミドルも出している。右ミドルから反動で体重移動しての右ストレートは、立ち技では崩しに使うテクニックだが、そこから胴タックルにつなげケージに押し付けてコツコツ、隙あらば体格差を利して首相撲から膝。

ミルコはまた頭真っ白にでもなったのか、攻め手なし。見切られた左ミドルをただ出しているだけ。なぜローを蹴らない?

コンゴは上手く戦っていたが、正直言ってリアルタイムで見ない限りは全然面白い試合じゃない。ただ、その面白くない内容に完封されるミルコの姿はショッキングだな。
新チーム作ってこの内容。今度こそ、本当に限界か。続報を待ちたい。


狂犬がUFC王者になった日

か、勝った! クイントン・ランペイジ・ジャクソンがUFC王者に!
いや〜下馬評不利と言われてたが、よく勝ったもんだ。

しかし、これを動画でしか見られないのが情けないね。

内容もびっくりするほどの完全勝利。常にプレッシャーを掛けてリデルを下がらせ、攻めさせてからカウンターをとるスタイル。イーストマン戦でも見せつけたボクシングスキルの向上を生かし、距離をキープしてリデルの伸びる左を殺す。もう少し長引く要素はあったかもしれないが、これだけスタイルがズバリはまっては、リデルもなすすべなしだった。
プレッシャーを掛けられてるところから、すでにリデルはびびってる感じだったが、やはり一度敗れているという苦手意識があったか。オクタゴンの広さを意に介さず圧力を掛け続け、自分のボクシングを信じたジャクソンが一枚も二枚も上だった。あと、あの絶妙のタイミングで見せた挑発も、この好結果につながったか。本来、チャレンジャーであるジャクソンが仕掛けるべきところを、敢えて誘い、倒さなくてはならない、アグレッシブでなければならない王者の義務感を揺り動かした。その瞬間、アイスマンは熱くなったが、狂犬の頭の中はいやになるぐらいクールなままだったわけだ。

PRIDEでは王者になれず干されたジャクソンが、いち早く参戦したUFCで王座奪取。わずか二戦目でのタイトル挑戦はPRIDEでリデルを倒したという実績ゆえだったのは皮肉なものだ。そして王者としての本当の戦いが、ダンヘン、ショーグンを迎え撃つことになるということも。

しかしこのジャクソンの素晴らしい試合運びを見ていると、つくづくミルコさんは情けない。慢心、研究不足、スパーリングパートナーが間に合わなかった……そういったもの全てをクリアして初めて王座にたどり着けるものを、いったい何を勘違いしていたのだろう。

PRIDEの買収もまとまったということだし、早く日本でも放送が始まってほしいなあ。


2007/4/21 UFC70 試合感想

砕け散った「PRIDE」。
新世紀MMA大戦は、既成の概念を破壊し、加速していくのか。

<L・ヘビー級>
○マイケル・ビスピング(英国)
(2R 1分40秒 TKO)
●エルビス・シノシック(オーストラリア)

<ライト級>
●マット・グライス(米国)
(1R 4分48秒 ギロチンチョーク)
○テリー・エティム(英国)

<ウェルター級>
●デニス・シバー(ドイツ)
(1R 1分21秒 アームバー)
○ジェス・リアウディン(フランス)

さて、ここらへんの試合を見ていて思ったこと。
はっきり言って全然知らない選手ばかりだし、今までの戦績なんかもろくに知らない。ただ、これからUFCを見ていこうと思っている以上、これら選手にも注目していかなければ、全体の流れや細かい技術体系なども理解していけないだろう。そう思ってなるべくフラットな気持ちでみようと思ってたのだが、肘などに注目しながら見るといい感じ。
いやね、少なくとも本当に弱い選手はこの中には一人もいなかった。寝技素人、芸能人、そういった人間を上げてしまう日本のビッグプロモーションのことを考えて、ちょっとぞっとしてしまった。打撃、寝技、スタミナ、全ての選手が一定のレベルを備えている。肘はともかくとして、パウンド、アームバーへの仕掛け、パスガードなど、細かい動きはPRIDEやHEROSに登場した各選手にも見たお馴染みのものだ。だが、これらがあらゆる選手、あらゆる試合でごくごく普通の光景として見られるというのが、いささかショッキングだ。そのさらに上、というレベルの話なら、日本にも一芸に秀でた選手は数多く参戦しているだろう。だが、底辺、最低限のレベル、そして層の厚さということを考えた時、これはもしや絶望的な差があるのではないか、とちょっと悲観的になった。
これを覆すには……競技性しかないと思うけどね……。


<L・ヘビー級>
●デビッド・ヒース(米国)
(3R判定)
○LYOTO(ブラジル)

これは実力差があったと思うんだが……なんだろうね、リスクを冒さず勝とうとしてるのかな? LYOTOは好機にことごとく動かず、最後のラッシュでポイントを取って判定勝ち。ムエタイ的だな(笑)。
まあこういう勝ち方でもトップへの対戦につながるなら、それも一つの考え方だろう。


<ヘビー級>
○アンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)
(3R判定)
●ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)

どっちつかずの微妙な内容だったと思うが、初出場ファブがよくやったと捉えるか、今後の飛躍を狙って快勝すべきところを滑ったと捉えるべきか。
五味VSアウレリオを思わせる、接戦と言えば聞こえのいい試合だったが、ファブは判定に不利を承知であえて引き込むぐらいのことは
してほしかったか。が、次の結果を見ると、これでよかったような気もするな……。


<ヘビー級>
●ミルコ・クロコップ(クロアチア)
(1R 4分51秒 KO)
○ガブリエル・ゴンザガ(ブラジル)

本当に驚いた時というのは、声も出ないものですな。
プレッシャーをかけるナパォン、左回りでジャブを突く。距離は結構あぶないとこに踏み込んでるのだが、一発二発もらうの覚悟……というよりは、蹴りの威力を知らない、あるいは恐れてもいないという風。ミルコは距離を取りながら周り続け、とうとう放った左ミドル、ナパォンは強引にキャッチし、テイクダウン。
ここから、オクタゴンの悪魔は徐々に牙を剥き始めた。
ガードからこつこつ肘を落とすナパォン。なにげなく見てたらわからないが、よく見れば滅多打ちだった。そもそもPRIDEでもほとんどガードポジションになる展開がないのに、あっさりと上を取られた上に未体験の肘攻撃。クロスガードをほどかないまま、ダメージだけが蓄積していく。
少しずつ金網に寄っていき、完全にミルコの頭を押し付けるナパォン。この時点で、すでに勝負はついていたのか。不可解なブレイクで立ち上がったミルコだが、すでに足下がおぼつかず、両足もほぼ揃っていた。1ラウンドの残り時間はあと十秒程度だった。

かつて、私はこのような記事を書いた。

http://chateaudif.bblog.jp/entry/348441/

夢の実現は、あり得たはずだった。だが、今日、全ては終わった。そう言い切ってしまっていいだろう。
世界屈指のメジャースポーツとなりつつある総合で、世界中の全てが知る本当のスーパースターになる、最初の王者。それがミルコでなくなったことは、もはや確実だろう。

違う舞台、違うルール、違う相手、その全てに対して何もできないまま、PRIDE無差別級王者は自らの必殺技に沈んだ。
インタビューに答えるミルコは、急に十も二十も老け込んだように見えた。

ミルコは這い上がれるのか? チャンスはあとわずかしかない。「多額の契約金を積んだ」「最強の」「スーパースター」であった彼の肩書きの、後の二つは今夜粉砕された。残り四試合の契約の間に、どれだけインパクトを残せるか。練習へのモチベーションの低下、UFCルールへの適応度の低さ、今回見せつけられた弱点……。時間はあまりに少なく、課題はあまりにも多い。

これで引退となっても、別に驚かない。それほどの惨敗だった。
今夜、一つの時代が終わった。


2007/2/3 UFC67 ミルコ圧勝! ジャクソンも勝利。

うわあああ、勝ったあ〜!
勝つだろうな、とは思ってたが、やっぱりホッとしたよ。
以下、簡単な感想を。

ジャクソンVSイーストマン、ジャクソンが小気味良いステップワークでイーストマンを封じ込め、クリンチワークも駆使して完勝。いや、上手いね。こういう、努力の跡がうかがえる戦いぶりってのは好きだ。「昔の戦い方の方が良かった」なんていう意見もあるだろうが、負けたのならともかく、このスタイルでKOを取っているのだから、力任せの玉砕戦法に戻すはずもないだろう。たかがファンが個人の派手好みの思い入れで選手の努力を否定するなど、ナンセンスとしか言いようがない。もっとも、これではかえってリデルには苦しいんでは、という批判はわかるな。

そしてPRIDEのテーマで入場のミルコさん、いやははは、笑わしてくれます。最高。

試合は、もうサンチェスがびびりすぎで全然、話にならなかった。しかし見慣れたスタイルの選手の試合を見ると、オクタゴンの広さがよくわかるね。リングなら、もっと速い段階でコーナーに詰め、ストレートで串刺しにしていただろう。ミドルもちょっと踏み込みながら打ってたせいか、いつものレバーをぶっ叩くような当たりではなかった。まあ、トップクラスの選手はここまで逃げ回りはしないだろうが……。
しかし、試合後の「一緒にリプレイを見ながらインタビュー」という演出は素晴らしい。試合の直後って、なんかもろに人間性が出るというか……。楽勝だったにも関わらず、一刻も早く帰りたそうな顔で、一つも景気のいいコメントの出て来ないミルコさんはやはり面白いです。試合前の舌戦とか、やっぱり無理してるんだね〜。

また例によって会見拒否とかやってるようだが、これはやはり普通に出て欲しい。ま、実は上記のごとき人なので、UFCに対する挑発とかじゃなく、本当にしゃべりたくないだけなんだろうが、ミルコのことをよく知らないであろうアメリカのファンに、少しはサービスしてあげてほしい。誤解は誤解に過ぎないし、ファンサービスという嘘の自分をミルコは嫌っているのかもしれないが、今まで触れる機会のなかったアメリカの格闘技ファンも、ミルコが何を思っているか知りたいと思う。別にUFC最高!とか聞きたいわけじゃなく、自分はこういう選手なのだ、と語ることはぜひしていってほしい。アメリカ人だって、日本人と同じようにミルコが好きになるはずなのだ。


UFC66  リデルVSティトを見た&今さら恥ずかしくて聞けないフィートとポンド [UFC雑感 ]

リデルつええ〜! 一瞬もティトペースにならなかったな。ワンチャンスをモノにするのではなく、スリーチャンスぐらいを実に自然に作ってしまい、最初のチャンスで仕留め損ねても大きなダメージを与えてしまうというか……。
しかしパンチの正確さには驚いたが、あの腹のダブつきは大丈夫なのか? これならば我らがミルコさんの敵ではないな。ジャクソン! おまえにも期待してるぞ!
それにしてもちょっと膠着しただけで、あのブーイングは凄いな。

ところで、これがUFC67の対戦カードだが……。

http://www.ufc.com/index.cfm?fa=eventDetail.fightCard&eid=386

うーん?

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ミ、ミルコさんの身長と体重が……い、いったい何の数字だ!? わからん!
ミルコのUFC参戦で、突如として自分の無知が明らかになってしまった。これはあれですな、身長がフィートで体重がポンドなわけだ。かつて「ポンドは取りあえず半分に割れば大雑把にキロが出る」と聞いたことがあったが……え〜ミルコが218ポンドだから……109キロもあるわけねえだろ! 牛肉を食べるとかそういう話ならいいが、やっぱり1キロが明暗をわける格闘技の世界で、こんな適当な計算をしていてはいけませんな。

というわけで正しい計算式はこちら〜!
知らなかった人も、明日からUFCについて友達に語る時、「え? これぐらい一般常識だよ?」って顔をしてみよう!

1インチ=2.54センチメートル
1フィート=12インチ
1ポンド=0.45359237キログラム

よって、選手の身長がXフィートYインチだった場合は、

{(12×X)+Y}×2.54=?

体重がαポンドとすると、

α×0.4536

ミルコの場合は、6フィート2インチ、218ポンドなので、

{(12×6)+2}×2.54=187.96
218×0.4536=98.8848

……となるな。うーん、ミルコさんはもう少し重いはずだが……。これはUFCサイトの情報が不正確だ!

計算が面倒な人はこちら。

http://homepage1.nifty.com/t-morimori/cal/index.htm

さてさて、いちいち計算するもよし、徐々にフィート法に慣れて行くもよし、頑張ってUFCもお楽しんでいこう。


ミルコ・クロコップ、UFC移籍。 [UFC雑感 ]

というわけで、新カテゴリー追加〜!(笑)
WOWOW入ってるくせにろくに見てなかったが、現金なものだね。これからはWOWOWで見て、その後にG+の方を録画する形になるかな?

http://www.boutreview.com/data/news05/070203ufc67.html

PRIDE無差別級王者、オクタゴンに参戦……!

8月に涙のGP初制覇を果たし、わずか数カ月。いったい誰がこんなことを予想しただろうか。
しかし、今やさしたる驚きもない。桜庭移籍、サップ逃亡あたりから、どんどん感覚が麻痺してきている。

UFC移籍ってのは、単にギャラの金額だけの問題じゃないよね。まずはやはりアメリカという「市場」。格闘技のみならず、昨年出演した映画ビジネスや、もう一つの職業である政治家としての今後の知名度や功績、自身の名が売れることを考えた時に得るもの。そういうことを考えると、UFCで名を轟かせることは、ファイトマネーが四倍であることさえも霞むような、莫大な利益をもたらすんではないか。そして、クロアチアという国にも日本との関係など比較にならない、大きな国益を生むのではないか。ミルコが小泉と握手したシーンを思い浮かべてほしい。あれがブッシュないし次の大統領だったら?

UFC王者→引退→ハリウッドデビュー→米大統領、クロアチア訪問でボクと握手!→クロアチア大統領ミルコ・フィリポビッチ

……うわあああああ、後半はほとんど冗談だが、そりゃこういう筋書きを考えたら移籍するわな。
いやほんと、これはギャラとかヒョードルとか、そういうレベルの問題じゃないですよ。PRIDEGP王者という肩書きを得て、夢を一つかなえてしまったミルコの新たな目標。金網を舞台に戦うこととか、ヒョードルらより弱い選手と戦うことの意味とか、そんなことを考えていては、ミルコの目指すものは決して見えて来ない。格闘家としての人生など、彼の「プラン」のほんの一部分でしかない。UFC、そしてその向こうに透けて見える「アメリカ」という巨大な、あまりに巨大な国。そこから始まる人生の次の展開を、彼は見ているのだ。
DSEは、絶対にミルコを優勝させてはいけなかった。アレキ、ハント、ノゲイラをぶつけるべきだったのは、UFCに嫌われた日本大好きのオタクプロレスラーではなかった。格闘家としての名声を、PRIDEを踏み台にしようとするミルコの方だったのだ。

しかし数年前まではマイナーなスポーツだったUFCと総合格闘技が、急速な成長を遂げ、今やボクシングに次ぐメジャースポーツとなろうとしているのは、本当につい最近のこと。日本、オランダ以上に大きな市場を持たないキックボクシング=K−1に見切りをつけてPRIDEに移籍。さらにそこで幾度もどん底に突き落とされたあげくに、ようやくベルトを獲得。それがUFCが巨大な市場を勝ち得、ミルコという選手を諸手を上げて迎える態勢が整った時とほぼ同時期だったのは、出来過ぎとしか言い様がない。もしあの時ノゲイラを破り王者となり慢心からピークを過ぎていたら……そして引退していたら……このような巨大なチャンスは決して巡ってこなかっただろう。チャンス……そう、ミルコはこれがチャンスだということを理解している。これを黙って見送るような、そんな鼻の利かない人間ではない。

2月3日にラスベガスで始まるのは、ミルコ・クロコップと言う一格闘家の単なる一試合ではない。佐藤大輔の煽りVを思い出せ。戦火のクロアチアで生まれた少年。その心にいつの間にか芽生えた、巨大なる夢と野望。その新たなる一歩を見届けよ。

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