2008/3/5 戦極 第一回大会 試合感想
あ〜、また試合以外すっ飛ばしちゃったよ。
でもピットブルんとこのサンタ・エスメラルダだけ聴いた。
いつまでも夢見てんじゃねえよ、には、ちょいと引いたな。残り物でイベントやってるのはどっちも一緒だし、普通に両方見たい、見るという総合ファンも多いだろう。「戦極オタ」なんてものさえ存在しない今の段階で、イベント同士ののしりあいやってどうするつもりなんだか。こういう主催者だけが必死になってる姿というのは、本当にみっともない。
ファブリシオ“ピットブル”モンテイロ(ブラジル/グレイシーバッハ・コンバットチーム)
VS
ニック・トンプソン(アメリカ/フリースタイル・アカデミー)
ニックのパンチはちょこちょこ当たるんだが、モンテイロがうまく上を取る。総じて上をキープする時間は長いが、ニックも長い手足を利して立ってくる。テイクダウンからのポジショニングは完全にモンテイロなんだが、その後の仕掛けまでには至らず。拮抗している感じ。
あまり展開なく終了。判定はニック。うーん、ラウンドマストならモンテイロがテイクダウンで取ったんだろうが、それを差と取らないんだったら、パンチで鼻血を出させたニックか。
ラウンド5分でこの判定基準だと、寝技師はきつそう。まあこの基準が貫徹されるかは、今後を見ないとわからないが……。
川村 亮(パンクラスism)
VS
アントニオ・ブラガ・ネト(ブラジル/グレイシー・フュージョン)
実は川村見るの初めて。いきなりタックルを決めて上を取るネト。ポジショニングもスムーズで、マウント、バックと取ってチョーク狙い。川村は凌ぐだけで必死。しかしラウンド終盤、立ったところでパンチを入れる。おお〜当て勘いい。このパンチには確かに引き付けられるものがある。
2ラウンド以降もネトはテイクダウン狙い、しかし徐々に上を取る時間は短くなり、しまいにはタックルも切られるように。そしてスタンドは素人のようだ……。2ラウンド頭にラッキーパンチっぽく一発入ったんだが、ほんとにラッキーだけだった。
判定でアピールするネト、確かに1ラウンドは取っただろうが、先の試合の判定を見ても、これは川村だろう……と思ってたらやっぱり川村。判定基準で勝った、という感じだが、第一試合よりは差があったか。持ち味の出せない相手に対してよくやった感じか?
瀧本 誠(吉田道場/シドニー五輪柔道81Kg級金メダリスト)
VS
エヴァンゲリスタ・サイボーグ(ブラジル/シュート・ボクセ・アカデミー)
サイボーグ久しぶり。軽やかにハイも飛ばして調子良さそう。瀧本は最初打撃で応戦。が、サイボーグのインローがいい感じで入る。足を逃がすようにする瀧本だが、これは受けるのに自信がない人の受け方だよなあ。4発目ぐらいで早くも効いてきたか、グラウンドに逃れる瀧本。ガードで下から狙ってる感じは、結構不気味だが、サイボーグも無理せずこつこつ。
ブレイク後、インローを嫌がって組む瀧本。サイボーグが上を取るが残り時間が少ない。突然、倒れて足関節を仕掛けるサイボーグ、ははは下手なことやってるなあ、あと十秒しかないし……と思ったら瀧本がタップした。えええ〜。
我慢する気配もなく、「こりゃダメだ」という感じのタップだったが、がっちり極まってたのか。うーむ、瀧本は弁慶、ブス先生と下して評価が上がってたのに、屈辱のタップ負け。戦極初戦は苦難の出だしに。
藤田和之(藤田事務所)
VS
ピーター・グラハム(オーストラリア/A・E FACTORY)
試合前の睨み合いから一触即発のムード。昨日は乱闘だったらしいが、はてさて。
パンチを伸ばすグラハムに藤田がタックル……おお、切った切った。しかし滑った。次のタックルも切った……しかし転んだ。うーん、ここらへんがミルコさんと違うところか。次のタックルは決まって上、サイド、これは仕方ないなあ延々と切り続けられるわけないし……ここからの対応がキー……マウント……駄目か……サイド……上四方……あ、終わった。
グラハムはやっぱりK-1ファイターだった。これでK-1の名誉云々とか言い出す人はまあいないだろうというのが救いだが。
しかしつまらない。クソカードの典型だった。
三崎和雄(GRABAKA/PRIDEウェルター級GP2006覇者)
VS
シアー・バハドゥルザダ(アフガニスタン/ゴールデン・グローリー/第5代修斗世界ライトヘビー級王者)
いきなりシアーの右ストレートがグサリで、ちょっとぎょっとなる。しかし落ち着いて引き込む三崎は腕を取ってアームバー、シアーもポイントはずらしているか、これは極まらない。なんとか外して上を取ったシアーに三崎が下から仕掛けようとしたところでゴング。
2ラウンドはスタンドでの打ち合い、距離が合ってるのはシアーで、なおかつストレート系を打ってるから何発かヒット。しかし三崎もここらへんからタイミング合わせてフック当てるのが上手いし、秋山もそれで倒してるから当ててくるかな、と思ってたら、突然シアーがタックル。あれっと、思ったら三崎が投げで返す。やや中途半端な形になったものの、素早く詰めた三崎がフロントチョーク。絞り上げてタップを奪った。
シアーも健闘したし、これは想像以上にいい試合で良かった。三崎に求められるハードルはもっと上がってるのかもしれないが、今日のベストバウトじゃないか? しかしマイクは長かった……。
五味隆典(久我山ラスカルジム)
VS
ドゥエイン・ラドウィック(アメリカ/ハイ・アルティチュード)
休憩明け、セミ。
ラドウィックは顔色はちょっと戻ったか。しかしかつて「童顔なのにクソつええ」というイメージがあり、「アメリカン・パイ」にも出演してそうな「ベイビー」が「男」武田幸三を叩きのめしてしまう、という格闘技ならではの価値観の逆転を演じてみせた(こんなことを言ってるのはオレだけだろうけど)ラドウィックが、やっぱりその童顔を気にしていたのかヒゲなんか生やしているのは残念である(笑)。もうそろそろ三十なんだろうけど、いいじゃないか! 童顔でも!
控え室の五味は身体もすっきり、体調は良さそう。表情が悪くいえば緊張感薄いし、良くいえばリラックスしてる。
開始から激しく打ち合うわけじゃないんだが、もうお互い寝技に行く気はなさげ。それが素晴らしいとか言う気は毛頭ないけれど、ここまでの試合の展開とはそろそろ違うものが見たい、というニーズにはピタリ。
ラドウィックのスムーズな打撃と、意に介さず狙い続ける五味の左、幾度か交錯し、切れかけたラドウィックの顔面に再び左フックがズバリ。尻餅をつきながらも立ち上がったラドウィックだが、大流血。すぐにストップがかかった。
不完全燃焼だが、パンチで切った傷だし、試合的には完全に五味の勝利。もっと見たかったが、仕方ない。
▼メインイベント
吉田秀彦(吉田道場)
VS
ジョシュ・バーネット(フリー/第10代無差別級キング・オブ・パンクラシスト・第7代UFCヘビー級王者・PRIDE GP 2006 無差別級トーナメント 準優勝)
吉田は柔道着。なんで着たままなのかというと、これは明白で、柔道の技がどうとか防御がどうとかいう以前に、ダブダブの身体を見せられなかっただけだろう。4キロ重いジョシュがベストシェイプなのに対して、明らかに体重上げ過ぎ。質の高い練習をしているかどうかも正直怪しい。バックドロップの後でにやにやしてるのとかも、打ち合わせでもする関係なのかと疑いたくなるから、ほんとに勘弁してくれ。違うとは思ってるけど、馴れ合いを見せるリングじゃねえだろう。
圧倒的な実力差を背景に、ジョシュが得意技を次々と仕掛ける展開に。1ラウンドの腕十字を防がれた段階で、吉田にもう打つ手なし。高阪さんがジョシュの技について解説し、郷野がなぜかセコンドの中村カズにダメだしする変なムードの中、マウントも取られまくり、バテバテ吉田は足関節で止めを刺された。
空気読んだジョシュが手心を加えたんだろう、ということも含め、日本では「よくあること」、この「キャスト」なら予想して当然、という感じで怒る気にもならない。日本の総合ってのはこれでいいんですか?
好試合、クズ試合含めて、メジャー興行の縮図が見られたような大会だったなあ。
ジャッジとレフェリングは今回はこれで良かったんじゃないか。ルールの運用も、ブレイクのタイミングもおかしいとは思わなかった。グローブはどうにかしてほしいけど。今回ぐらいのレベルがキープできるなら、あとはコンセプト次第で良くなっていくんではないか。
次は5月と6月ということで……って立て続けにやりすぎじゃね? そんなにコマがあるの? 五味と三崎が片っぽずつメインを張るとしても、二番手の不足っぷりが厳しいんじゃないか。ホジャーは見たいけど、まだまだジョシュとやりあうようなレベルじゃなかろうし。
ナレーションと呼び出しが池田秀一……ということで、ガノタとしてはちょっとコメントを(笑)。
いや〜、でも最初全然気付かなかったわ。事前にブログでサプライズ扱いしてたぐらいなんだから、今後も起用していきたいんだろうけど、使い方がなってないよ。いわゆる「役」を演じるだけじゃなく、無色のナレーションだってそれなりに経験してる人なんだから、声出せばあのキャラになるってわけじゃない。「出る」とか「ニュータイプ」とか脚本にはそれなりにキーワードが散布されてるようでいて、別にこだわりが感じられるわけじゃない。何となくあのキャラっぽいでしょ〜面白いでしょ〜という緩〜い空気感を共有してほしい、という腑抜けた媚が滲み出ている。
やりたいんだったらきっちりサンライズとタイアップとってケロロ軍曹みたいに、「ナレーション・シャア」と銘打って出してこい! JASRACに金払うのが嫌で原曲にクソアレンジしメロディーまで変えてよそで使う、ってのはよくあることだが、それと同レベルでありオリジナルへの冒涜。声優は自分の演じたキャラクターにこだわりと誇りを持っていて、長く演じたキャラであればあるほどそれは大きくなる。だからこそ、中途半端に「シャアっぽく」と言われる、あるいは期待されても、「シャアのようでシャアでないもの」を簡単に演じてしまうのだ。はっきり「シャアでやって下さい!」と言わねば! おそらく池田秀一はこういうリクエストを何度も何度も経験していて、いつも苦笑まじりに「またか……」と思いつつやってるんじゃないか。日本的だなあ。でも、そんなもんには何の価値もないんだよ。
「シャア」を起用しないにしろ、池田秀一は本来、もっとテンションの高い喋りが出来る役者のはず。
「見せてもらおうか、PRIDEウェルター級GP王者の実力とやらを!」
「その時こそ私は、父・百瀬の元に召されるであろう!」
ついシャアになってしまったが(笑)、これからも顔として起用していくのなら、中途半端にシャアというイメージを出すんじゃなくて、もっと「戦極の煽りの人」というキャラクターを作って独自のカラーを出していくべき。熱さ一辺倒でない、どこかニヒリズムとナルシシズム、滅びの美学とエリートの傲慢を漂わせるキャラクターを……。
「まるで道化だな……」
戦国時代というものは、誰も彼もまったく正々堂々としてなくて、下克上という言葉も裏切りと謀略に塗れた卑怯者のイメージなんだが、ある意味、謀略家であり政治家でもあったシャアにははまるなあ。
「なるほど……笹原も大変だな。どうしていいか指示してくれる榊原ももういない」
あ、違った、これはデュランダル議長だった。
何にせよ、格闘技ブログでシャアについて延々と語るのは、これで最後にしたいものである。
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