2005/4/23PRIDEミドル級GP開幕戦
非常に過ごしやすい、格闘技日和となった今日、午後三時。試合開始より一時間前に、私は会場入りした。
大阪ドームでの観戦は三度目だが、今回は初めてのスタンド席。距離よりも角度を優先した選択。席に着いてみると思いのほか距離があったが、角度的には問題なし。また赤コーナー側の選手退場ルートが真正面で、引き上げる選手の表情が良く見えそうだ。
パンフレットだけ買い(2000円でした)、文庫本を読みながら試合開始を待つ。スタンド席だからか、売り子が来てビールやジュースを売っている。雑念を入れないために、飲み食いは無しと決めているので、何も買わずにおく。どうせ今日の位置なら双眼鏡覗きっぱなしだし。
後ろの席に座っていた中年男性が売り子を呼び止め、ビールとつまみを買い、その際にこう聞いた。
「これ、試合中も売りに来るん?」
「売らないっす」
当たり前だろ! 野球じゃねえんだよ! 殺すぞ!
そうこう言ってる内に高田登場で、出場選手の呼び込み。中村とランデルマンをのぞく全選手が入場! スタンドだから会場全体がよく見渡せ、なおかつ音響効果が良く聴こえるせいもあるが、その瞬間の盛り上がりはやはり凄い。最近のKー1とは、やはり一味違う感じだ。
さて、第一試合は中村とランデルマン。
上になってもなぜかまったくパウンドを打たないランデルマン、スタンドに戻ってもなぜか右のガード上げ過ぎ! 相手はミルコじゃないんだから、ハイキックなんてこないよ! 得意の投げで上を取った中村がこつこつと塩パウンドで優勢! 幾度か関節を取りかけるが、ランデルマンは(ここでだけ)驚異の身体能力を見せ、くるっと回って外す。
終始そんな展開が続き、早々とスタミナが切れたのか、ランデルマンはせっかく上を取っても何もしない。
会場の空気が物凄い勢いで冷えていく中、中村判定勝利が告げられたのであった。
しょーもな〜、何も攻撃してないのにスタミナが切れるってどういうこと?
第一試合から凄まじい塩興行の予感がひしひし。大丈夫なのか?
中村選手は前座試合を見せて、後の試合のレベルの高さを際立たせるという第一試合の大役を無事に果たしたのでありました。
冷えきった試合をさらに凍らせるか、第二試合アローナVSリスター!
アローナ入場の時、コアなファンからか若干声援が湧いたのがいい感じ。
リスターはやはり打撃が全然ダメで、スタンドではアローナがペースを取る。
アッパーなどが危うく当たりそうになり、リスターはグラウンドに持ち込んで逃れる。が、こちらも若干だがアローナ優勢。リスターは執拗に足関節を狙う……というと聞こえはいいが、最後の方はそれしか出来ないという感じ。
第一試合よりレベルが高いのはなんとなく客席にも伝わったようだが、さらに温度は冷える、冷える。
第三試合、近藤VSボブチャンチン!
冷えきった会場を、凍土の大地からやってきた男が熱く沸かせる……という展開を大期待。これはKO必至だろう……と思いきや!
な、なんと、打ち合う宣言をしていた近藤が「全く打ち合わない」ではないか!
ま、別にそれは作戦としていいんですけど、なんとグラウンドでもボブチャンチンが圧倒! ガードポジションでもお構いなしにパウンドを落とし、アームロックであわやという場面も作る。
後半はほぼマウントを取りっぱなし。近藤は必死にマウント返しを計るも、ボブチャンチンは驚異のバランスで近藤を押さえ付け、細かく拳を落とす。
腫れ上がった顔で判定を聞く近藤。さすが不動心、圧倒的な不利の状況にも心は折れなかったが、まさに折れなかっただけという試合だった。
ボブチャンチンはげっそりと痩せ、幽鬼のごとき表情。この顔でコンディションベストなのか。怖いよ。
第四試合はアリスターVSビクトー。
UFCのチャンピオンというのがいったいどれほど強いのか、気になる。沈滞ムードのドームを、何とか盛り上げて欲しい。
序盤は様子見の立ち上がりだったが、グラウンドでイエローカードをもらったアリスターが、ファーストコンタクトで打撃戦に自信を持ったか速攻を駆ける。ビクトーはややスピードに押された感じでグラウンドへ。今度はビクトーにイエローカードで再度スタンドで再開、ここでアリスターの膝が直撃! 崩れたビクトーをさらに攻め、なんとフロントチョークで極めてしまった。
今日初めての一本勝ちに、ようやく場内が湧いた。しかしビクトーのいいとこなしぶりが気にかかる。
そして第五試合、ホジェリオVSダンヘン。超実力派対決というコピーが入るが、裏を返せば判定必至ということだ。
お互いあまり寝技には行かず、スタンド勝負となるが、ややホジェリオ優勢かと思われた一ラウンド後半、上を取ったホジェリオがそのまま腕十字を極めて圧勝!
あら〜? ちょっと拍子抜けです。ダンヘンは調子悪かったのか? 何にせよ大晦日に続いての二度の調整失敗となれば、もう弁解の余地はないだろう。
ここまでで三時間! いや〜膠着多くて疲れました。動くのもイヤになって、そのまま20分の休憩、一歩も動かず。
上から見てるとまばらに空席もあり、やっぱり埋め切るまではいかなかった模様。後の発表では4万5千人でした。まあまあの数字でしょうか。秋のKー1はどれぐらい埋められるかな?
会場の演出を見ていて思ったのが、煽りから入場から試合開始のタイミングから、印象的に全部テレビと一緒なんですね。フジの地上波放送がうまく作ってあるということなんでしょうが、なんとなく生ならではのお得感は薄い。まあ私が騒がずに見る質でもあるせいなんですが。
休憩明けの第六試合は、桜庭VSユン。
桜庭人気はやはり凄く、いっぺんに場内が盛り上がる。対するユンは拍手もなくブーイングが……まさに大アウェー。
そして、開始早々、一分も経たずにユンは殴り倒された! 会場は大盛り上がりなんだが、ほんとにこれでいいのか……? 弱すぎない?
一番盛り上がったのがここというは、ちょっと寂しいなあ。
終了が一体何時になるのかと危ぶんでいたが、秒殺が挟まって大分短縮された。そして、次もKO決着確実!
ジャクソンVSショーグンの始まりだ!
とにかく気合い充分の両者。ショーグンは前日に計量に苦しんだということで心配していたのだが、まったく問題はなさげ。
開始早々、ショーグンのパンチがヒットし、勢いを感じさせる。しばらく差し合いからブレイクの展開が続くが、徐々にショーグンの膝が当たりだし、ジャクソンは失速。後で聞いた話では、どこかからすでに肋がいっちゃってたらしい。とはいえ折ったのはショーグンなんだから、文句は言えない。その後もパンチと膝の波状攻撃で、なんと昨年準優勝のジャクソンが一回戦で殴り殺されてしまった!
なんてこった。ショーグン強すぎ。
次の試合が今から楽しみだ。
メインイベントは吉田VSシウバ。ん? なんでシウバが青コーナーなんだ!
シウバはやや慎重な立ち上がり、吉田も積極的に攻めようとはせず、シウバが打ってきたところに投げをうってグラウンド狙い。吉田が上になったりサイドを取った時の盛り上がりが凄い。
一ラウンド、二ラウンドは大きな差はなかった感じだったが、吉田若干不利か。三ラウンド、その吉田はまったく前に出なくなり、お見合いファイトを展開。シウバはそこへローをしつこく蹴り続ける。そのローが完全に効いてしまったか、吉田痛そうな表情。総合でローキックってのは結構リスキーなもののはずなのに、シウバが悠々と蹴ってるあたり、すでに勝負ありの印象。
最後に脚を取りかけて見せ場を作ったのはさすが吉田だったが、内容的にはまたも完敗か。
が、なぜか判定は一者吉田。はあはあ言ってる吉田が物凄い驚いた顔をしていた。やめろよ、こういう判定。
結果シウバ勝利で、まあ良かったんですが。
終わったら丁度八時半。
いやあ、面白かったなあ(ほんとか?)。でも全体的には普通の興行で、盛り下がりも盛り上がりもありで、良かったんじゃないでしょうか。近藤、ビクトー、ダンヘン、ジャクソンなどが、いいとこの全くない無惨なまでの敗北を喫したのが、なんか後味の悪い原因でしょうか。五分の展開から負けたわけじゃなく、最初から力負けして印象悪し。次に出て来ても、今日のていたらくでは素直に応援できなくなった。
さて、次は6月。お馴染みのメンバーが残った準々決勝、今から楽しみですね。
ちなみに予想は五つ当たりました。門外漢の割にはまあまあ? 試合内容はまったく当たってないけど……。
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