2007/10/3 K-1 WORLD MAX 決勝トーナメント観戦記
いや〜、ようやく大阪に帰ってきましたよ〜。
でも行って良かった! プロの中のプロのアスリートたちが見せた、正真正銘の戦いでしたね。
来年も行こうかな〜。
当日のお天気はくもり。開場は5時で、選手は4時10分頃にバスで会場入り。もっと早く入ってるのかと思ってたぜ。リングチェックとか、この後にやったのか? それとも朝に一回入ったりしてるのかな?
それより少し前に、シルバーウルフ軍団の会場入りも目撃。あっ、山本にぼこられた大宮司だ!
▼オープニングファイト第1試合 K-1ルール 3分3R 73kg契約
GORI(日本/PUREBRED大阪)
VS
亮司(日本/フリー)
亮司も悪い選手ではないんだろうが、このレベルだとGORIみたいなゴツゴツした選手が前に出てくると、捌ききれなくなるのかね。3ラウンドにフックでダウンとったGORIが判定勝利。今日はこの時点でも結構お客さん入ってて、それなりに沸いてました。
▼オープニングファイト第2試合 リザーブファイト第2試合 K-1ルール 3分3R延長1R
ムラット・ディレッキー(トルコ/ユニバーサルジム)
VS
サトルヴァシコバ(日本/全日本キックボクシング連盟)
当然ヴァシコバ応援団はすでに入って大応援なわけだが、これで勝てというのは酷だわな。
最初のディレッキーのワンツーだけで、その切れ味に会場から声が上がる。本戦レベルと全く遜色ない打撃。さらに軽くホールドしての膝で、ヴァシコバを翻弄する。これは組みが苦手なヴァシコバ対策ではなく、おそらく本来のスタイルなのだろう。ヴァシコバのパンチも当たったんだが、平然としている。
2ラウンド目にはあっさりと二度ダウンを奪って完勝。全然会場からは声援なかったけど、俺だけは応援してるぞ。来年は開幕戦出てくれ!
いよいよオープニングセレモニー。選手入場から大音響。セレモニークライマックスの大爆発の音響に備えて、佐藤とドラゴが耳を塞いでたのが印象的。結果論だけどあえて言おう。だから君たちは勝てないんだ。ステージの真ん中に陣取ってる魔裟斗が両耳塞ぐかね? 彼がそんなかっこわるいことをするかね? いくら爆発音がすごくても、平然と立ってるぐらいのプロ意識がないと勝てんよ!
まあ魔裟斗は耳栓仕込むぐらいのことは、当然のようにやりそうだけど……。
今日の隣の客は左が柵で、右が一人で来てる大学生ぐらいの格オタ。うひょひょ、超ラッキー。マナー悪いバカが近くにいると最悪だからね。しかし5列目ということだが、リングから関係者席の間をかなり距離取っており、さらにそこから5列なので、まあまあ距離があった。もっと詰めればいいのに。というわけで、全然望遠ないんで写真は期待しないで下さい。
▼第1試合 スーパーファイト K-1ルール 60kg契約 3分3R延長1R
HIROYA(日本/フリー)
VS
クォンオルチャン(韓国)
HIROYA結構人気あり。相手のオルチャンは蹴りは強くないが細かいパンチがよく出ていて、オランダの時の相手より強そう。HIROYAが下がりながらもカウンターのフックやコンビネーションのローを当てて有効打を取ったが、今後はもっとプレッシャーの強い相手との対戦も見据えなければならないだけに、下がってしまったのはマイナスか。
が、そろそろ今後の展開なども考えたくなってきたあたり、彼もプロらしい試合になってきたな、という感じ。
▼第2試合 リザーブファイト第1試合 3分3R延長1R
小比類巻貴之(日本/チームドラゴン)
VS
ヴァージル・カラコダ(南アフリカ/ウォーリアーズMMAアカデミー)
さあ、本番はここから! コヒへの声援もかなりのもので、隣の兄ちゃんもコヒ応援。
入場からすごい気合いのコヒさん、試合前の睨合いでは、なんと背伸びしてカラコダを見下ろしてみせるシーンも! これには会場も歓声で、相当自信があるのかと思わせる。
両手を完全に顔の下で交差させつっこむカラコダ、頭はがら空きで、完全に膝しか考えていない突進。頭をつけるカラコダにコヒさんはクリンチ。カラコダは構わずボディからアッパーを突き上げる。ブレイクから再開、またクリンチの繰り返し、やはりコヒはコヒだった。それでも再びカラコダが距離を詰めるまでに一発入れるローは強烈で、大きく身体が流れる。でもなあ……これで勝てるなら苦労しねえよなあ……。カラコダが接近する度にコヒはクリンチし、注意、警告が続く。
2ラウンドも同じ展開。ところで、ラウンドが変われば同じようにクリンチしてても、また注意からやり直しになるのかね? しかし中間距離で何もできないコヒさん、カラコダはやや余裕を持ったか、時折ジャブもつきはじめる。で、これがいいように当たってしまう。コヒさんはステップで回れないし、パンチにびびってるからジャブでも止められないし、ブアカーオばりの組んでからの崩しも使えない。とりあえずカラコダの足を止めなきゃどうしようもないんだが、単発のローだけでは……。
3ラウンド、ついにレフェリーが業を煮やしたか、注意、警告が立て続けに飛び出し、言うことを聞かないコヒさんはついにイエローをもらってしまう。ここで場内大歓声。致命的な減点をもらったコヒさんは、武蔵張りの胴回し回転蹴りで打開を計るも不発。そこに突進からラッシュを浴びせるカラコダ! 滅多打ちのコヒ、なすすべなく2ノックダウン。
頭で突っ込み、なおかつ自分はホールディングしないというカラコダ戦法にもいささか問題はあるんだろうが、押し返して打ち返せない、コンビネーションで止めるすべのないコヒさんは余計にどうしようもないな。
▼第3試合 K-1 WORLD MAX 2007 世界一決定トーナメント 準々決勝 第1試合 3分3R延長1R
魔裟斗(日本/シルバーウルフ)
VS
ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムックジム)
いよいよ今年最大の大一番の開始。コヒさんのおかげでいい感じに会場も盛り上がっている。
お互いの表情からは好不調の具合はうかがえないが……。
1ラウンド、序盤の魔裟斗の前進をあっさり前蹴りで止めて転ばし、パンチから高速ローのコンビネーションを決めるブアカーオ。ここを見た時は、今日もブアカーオか、という感じがしたのだが……。ホルツケンなんかもこれでなすすべなく体力を削り取られていったわけで、魔裟斗までもそのパターンにはまってしまうのか?
パンチはすかされるものの、ローが面白いように当たるブアカーオ。中盤に放ったハイキックもヒットこそしなかったが、優勢を印象づける。魔裟斗も得意のアッパーからつなげるコンビネーションを当てるも、ブアカーオは顎をがっちり引いてダメージを受けない。だが、出入りを繰り返す魔裟斗も距離を外し、打ち終わりに返されるブアカーオのパンチを空かさせる。ペースはブアカーオだが、パンチの印象だけなら負けていない……と思ったラウンド終盤。一瞬のミスか、前に出ようとしたブアカーオはローを出す寸前、すでに魔裟斗の射程圏内に入っていた。
右ストレート直撃で尻餅を突くブアカーオ! 信じられん! 細かい出入りに幻惑されたか、アッパーを警戒しすぎたか、あのブアカーオが距離を間違えた。
ダメージはなく立ち上がったブアカーオに、魔裟斗が襲いかかる。ブアカーオも打ち返す中、第一ラウンドが終了。場内の盛り上がりはすごいし、これで行ける、というムードが充満している。
ペースを変えないブアカーオは、変わらず右ロー狙い。しかし魔裟斗も出入りを早め、ローを受けながらもフックからアッパーのコンビネーションを返す。ほぼ五分の攻防ながら、ブアカーオのローは着実に効きつつある。
だが、最終ラウンド、一気に流れが魔裟斗に傾く。3ラウンドならばローでは倒し切れないと見たか、パンチを狙うブアカーオ。しかしそれが裏目に出、前進を遮り止めた魔裟斗のアッパーが、今度は楽々と当たり始める。生命線である距離感をなくしたブアカーオのパンチはもはやただの大振りに堕し、出入りの早さにカウンターも空を切る。打っては退く魔裟斗のステップワークに空振りを繰り返し、いいようにフックとアッパーを受け続けるブアカーオは、徐々に棒立ちに。ペースを変えない魔裟斗がそのまま押し切った。
いや、驚きの完勝。ダウンもさることながら、3ラウンドはペースを崩したブアカーオを翻弄し、まったく何もさせなかった。ブアカーオは3ラウンドもローで攻めていれば、まだパンチが当たる目もあったと思うが、作戦ミスというよりは、ブアカーオがそうするだけの気持ちの余裕を失っていた。心こそ折れなかったものの、どこか試合中から今日は勝てないという諦めの目が出てきたのではないか。
しかし魔裟斗強い。これは今日は、ひょっとしたらもしかするのか?
▼第4試合 K-1 WORLD MAX 2007 世界一決定トーナメント 準々決勝 第2試合 3分3R延長1R
マイク・ザンビディス(ギリシャ/メガジム)
VS
アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテン・オデッサ)
なんだあ、この家は!?
「戦う理由がある」にも色々あるが、子供が産まれたとかそういう呑気な内容より、遥かにやばい。あの崩壊した家々がマジで恐いんですが……。キシェンコ一家が早く脱出できることを祈らずにはいられないし、あの地域の治安がもっとよくなって、キシェンコが楽しく練習できるようになってほしいよ。
そういえば、前にみた夢では魔裟斗判定勝ちだったが、ばっちり当たったね。次はキシェンコがミドルで腕折ってTKOだ!
さて、ミドル、ジャブ、カウンターの左フック、右ロー……おいおい、佐藤かよ! キシェンコが佐藤戦法でザンビディスを入れさせない。まあでも実際は佐藤じゃないんだし、ザンビがどっかで……と思ったら飛び込みもがっちり膝で止められる。いや〜キシェンコ勝ちに来てるよ。
フック一辺倒のザンビはガードを固められて打つ手なし。見合っての右ローはそれなりに効果的だったが、飛び膝も研究され尽くしている。それでもなんとか飛び込んでのボディが幾度か当たり、辛うじて延長にもつれこませる。
しかし、キシェンコもペースは堅持したが、技術で勝ってるだけでこれといった有効打はなし。まあKー1基準ならこんなもんだ。
そして延長ラウンド。戦前の「ザンビディスの喧嘩のようなペースにはつき合わない」という発言に反し、徐々にザンビにペースを取り戻されつつあるキシェンコが「殴り合って喧嘩でも勝つ」という展開を期待したんだが、やっぱり膝で止めてしまいました。鬼のボディ合戦は見られなかったが、キシェンコはきっちりジャブとストレートも織り交ぜ、ザンビディスにクリーンヒットを入れさせず。ああ……またもどかしくも切ないザンビが戻ってきてしまいました……。
ベスト8の実力があるか微妙と言われたキシェンコも、これで証明か。とはいえ、まだまだ6〜10位ぐらい。これからどんどん厳しい相手が増えるだろうし、頑張ってほしいな。
▼第5試合 K-1 WORLD MAX 2007 世界一決定トーナメント 準々決勝 第3試合 3分3R延長1R
佐藤嘉洋(日本/フルキャスト/名古屋JKF)
VS
アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ)
佐藤の煽りはちょっと気の毒な内容。「MAXを背負う」という最近の発言と、「魔裟斗には強さなら負けてない」という去年の発言をごちゃまぜにされ、心境の変化が追われていない。PRIDEなんかでも、外国人選手がいい加減な訳をつけられて言ってもいないような挑発的なことを「言わされ」ていたものだが、自分でわかっちゃう日本人にやるかね。
ジャブからロー、テンカオ、右ストレートと前に出る佐藤。クラウスも得意のパンチラッシュで前に……。だがここで佐藤が打ち合う! 前蹴りでなくジャブを突き刺して前進を止め、右ストレートを伸ばす。多彩な技をそのままに、距離を取らずに真っ向勝負。確かに前回は距離を取ろうとして取りきれずに負けたわけだが、だからってわざわざどつきあわんでも……!
左右のローもばしばし当たり、テンカオもグッサグッサとボディを抉っていたにもかかわらず、前に出てくるクラウス。そこにあわせる形でワンツーをも幾度もヒットさせ、打ち合いモードの佐藤、これで並の相手なら倒していただろう。が、顎のもろさも何のその、気持ちの折れないクラウスはアッパー、ストレートで佐藤の顔面を跳ね上げる。
しかし佐藤の意地がすごい。そろそろ心が折れるか、そろそろ下がるかと思ったところで、今日は必ず打ち返した。その後クラウスも打ってくるんだけど……。
3ラウンド、ついに、ついにその意地にも限界が来た。右ロー連打を耐え抜いたクラウスが、さらに強烈なコンビネーションをまとめ、佐藤の脚がロープ際で完全に揃う。もうだめだ、終わった……とオレが思ったその時、なおを首をもたげ、打ち返す佐藤! そしてこいこい、と挑発!
バーカ、何やってんだよ佐藤、らしくねえよ。ほら、つかめよ。前蹴りで距離取れよ。肘がねえんだから、もうそんな抵抗したって無駄だよ……。
再びフックを浴びてのけぞる佐藤、ポイントの差はこれで決定的。だが、それでも今日の真っ向勝負の象徴、右ストレートを振るう佐藤。大歓声の中、ゴングが鳴った。
はっはっは、こりゃ判定負けだな、らしくなく打ち合って判定負けなんてどうしようもねえな……と思っていたオレの目頭に、この時ようやく熱いものがこみ上げてきたのだった。
やはり判定では及ばなかったが、このオレの涙と、この大歓声が、今日佐藤嘉洋のつかみとったものの証だ。
▼第6試合 K-1 WORLD MAX 2007 世界一決定トーナメント 準々決勝 第4試合 3分3R延長1R
アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング オランダ)
VS
ドラゴ(アルメニア/チームSHOW TIME)
出た〜ドラゴダンス! 結構場内も手拍子起きてていい感じ。
試合開始早々、サワーの股間をドラゴのローがかすめる。「ダウ〜ン!」とかならねえか、マジで冷や冷やしたぜ。前蹴り、ミドルから上下にパンチを散らすドラゴ。今日は膝少なめ。サワーは相変わらずのスロースタート。がっちりブロックしながらローを返す。
サワーが倒れるとしたら顔面だろうが、さすがに守りが堅い。ドラゴもわりあい綺麗に攻めてる感じ。
2ラウンド、コンビネーションを緩めないドラゴ、サワーも徐々にレバーブローを交えた手数を出す。もつれるか、と思われたその刹那、一瞬の煌めき……。
出た〜! ローセンを沈めた右クロスが、今日も閃光のごとくドラゴを打ち抜いた! なんとここも夢で見た通り、ワンパンチでドラゴKO。ああ……ちゃんと寝て続きを見てれば良かった……。
これでサワーはダメージ少なく勝ちあがる。他が接戦だっただけに、これは絶対有利の位置に立ったか?
ここで休憩かと思ったら、もう準決勝が始まるんですね。
ところで薄々そうじゃないかと思ってたことなんだが、あのテレビで出てる勝ったら選手の顔がぐぐっと上に上がっていくトーナメントボックス、あれCGだったのね! 会場入りして、まずあれを探してしまい、「横浜アリーナにしか作れないのか。やっぱり武道館は天井の形とか独特だから」とかとぼけたことを考えてしまったが、魔裟斗が勝ったあとのVで、「あれ? あるぞ?」。
なんていうか、生観戦というのは、そういった幻想を打ち壊していく行為なんですなあ。
ここまで集中し過ぎで、血圧上がって頭がガンガンする。が、インターバルなしで準決勝が開始! マジで!?
▼第7試合 K-1 WORLD MAX 2007 世界一決定トーナメント準決勝第1試合 K-1ルール 3分3R延長1R
魔裟斗
VS
キシェンコ
魔裟斗は左足以外はダメージなしか? 対するキシェンコはよくわからんが、延長までやったしやはり相当消耗していると見ていいだろう。ただ、こういう若くてピチピチの選手が、あっという間に回復してしまうというのはよくある話だ……。
魔裟斗入場では大歓声。キシェンコはちょろっと。キシェンコ、ここで勝ったらマジで大ブレイクだぜ。
今日のクレバー・キシェンコ、まずは右ロー、当然の選択か。だが、魔裟斗も右ローを連打で返す。いきなりバランスを崩すキシェンコ、ああ〜ザンビディスの低空ローもそれなりに効いてたか。スピードで上回る魔裟斗だが、キシェンコもストレートで突き放す。いや、このリーチは誰とやっても脅威だね。そして離れ際、キシェンコのフックが直撃! ラッシュ後に重心を一歩引いてた魔裟斗だが、まともに食ってよろめく。そこへ追い打ちの右ストレートがさらに2発クリーンヒット! このシーンだけで、キシェンコからは今まで感じたことのなかった「怪物性」を初めて見せられた感じ。しかしさすがの打たれ強さを見せる魔裟斗、回って凌ぐ。
そして2ラウンド、ローの応酬で、先に悲鳴を上げたのはキシェンコの左脚だった。脚の効かなくなったキシェンコは、しかしここからずるずる負けるのを潔しとしなかった。得意のフックを振るって打ち合いに挑む。そして、魔裟斗にもこの時すでに、下がってローを打つだけの余裕は残っていなかった。前に出るキシェンコに応じる魔裟斗。刹那、互いのフックが交錯する。一発……二発……息を飲む応酬の中、先に突き立ったのは、かつてクラウスを沈めて王者をつかみとった、伝説の左フックだった。
倒れるキシェンコ、力は入らず立ち上がれない。そのまま10カウントが告げられた。
ジャンプしてのガッツポーズを見せる魔裟斗。だが、そのジャンプがあまりに遅く、あまりに低いものだったことに、きっと多くの人が気付いていたに違いない。
魔裟斗が引き上げたあと、リングに残って四方に礼をするキシェンコに、暖かい拍手が飛ぶ。若き天才の挑戦はここで終わったが、美しき死神の鎌の切り開く未来は、あまりに眩い。
▼第8試合 K-1 WORLD MAX 2007 世界一決定トーナメント準決勝第2試合 K-1ルール 3分3R延長1R
クラウス
VS
サワー
見たかった対戦だ。だが、試合前から両者のコンディションには差がある。真っ向から打ち合いを挑んできた佐藤とフルラウンド戦ったクラウスに対して、4分ほどでドラゴを沈めたアンディ”ワンパンチ”サワー。とはいえ、これもトーナメントの綾。ハンデをつけることも打ち壊すことも強さの内だ。
佐藤をねじふせた気迫をそのままに、ラッシュをかけるクラウス。対して距離を詰めず、ガードを固めるサワー。レバーブローを交えた打ち合いを期待したのだが、サワーはあくまで冷静に、右クロスを合わせながら、ローと飛び膝を狙っていく。今一歩踏み込みが足らず、サワーのガードを突き破れないクラウス。手数では食らい付いていたが、やはり消耗の差が勝負を分けたか。
判定はサワー。磐石。ちょっと前はダウンとられることもあったのに、今日はそんな気配が微塵もないんだが……。
ここで休憩。準決勝第二試合の前にも五分ばかしインターバルがあったが、ちょっと一息。深呼吸して肩の力を抜く。いやあ、神経使い過ぎだよ。せめて次の試合ぐらいはのんびり見ようじゃないか。
▼セミファイナル 第9試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長1R
安廣一哉(日本/正道会館)
VS
イ・スファン(韓国/韓国体育館)
すっかり若手の生け贄に差し出されるイメージの定着しつつある安廣。それでもヴァシコバをかわし切った試合なんかは良かったんだが、体格とリーチに勝る相手には偽武蔵流も通用せず。回るところに左ミドルと左ストレートをまともに浴び、ダウンを取られる。得意の右ストレートも、あの長身で器用にダッキングするスファンに合わせられず。頭を下げたところに膝を当てようとし、これがちょっと期待させるタイミングだったのだが、レフェリーが「もぐらな〜い」とスファンに注意してしまう! 唯一の勝機をこれで失った安廣、二度のダウンのポイント差で判定負け。
スファンもめちゃめちゃ強い選手という感じは相変わらずしないんだが、今日は安定感を見せた。安廣は金さんの指導でそろそろHEROSに行ったら……。
▼メインイベント 第10試合 K-1 WORLD MAX 2007 世界一決定トーナメント決勝戦 K-1ルール 3分3R延長2R
魔裟斗
VS
サワー
いよいよ決勝。魔裟斗はここまで判定、KOと優勝した2003年と同じ流れで来ている。が、2005年、負傷しながらもザンビを倒した右ストレートをブアカーオに、2003年に王者を取った左フックをキシェンコに放ち、すでに二つの必殺技を使いきったことが暗示的だ。ここからさらなる神がかった一発を出すのか。それともサワーの安定感がすべてを飲み込んでいくのか?
1ラウンド、入場時から目の据わってた魔裟斗は、正面から襲いかかる。消耗度は今回の方がきつかろうに、明らかに昨年のサワー戦より早い。スパートをかけて手数を出し、今日ここまで使う機会のなかった膝も繰り出す。サワーは相変わらずのスロースタートで、その攻撃をがっちり受け切る。
……このラウンド、手数の差で魔裟斗が取っていただろう。だが、この決勝という舞台に来てなお「スロースタートできる」サワーのこの余裕。すでに勝負はついていた。
2ラウンド終盤、ペースをあげてローを飛ばすサワー。離れ際、ついに魔裟斗が苦痛に顔を歪める。勝ち誇るサワー。ゴング間際のラッシュで、心の折れた魔裟斗は横を向いた。
ブアカーオ、キシェンコから受け続けたローのダメージが、ついに限界を超えた。タオル投入時は会場からは悲鳴があがったが、正直やむなしの空気。サワーつええ……強すぎる……。もともと安定感が抜群で、右クロスという大砲を備えた結果、近距離での打ち合いにこだわって被弾する確率も減った。優勝と共に、ナンバーワンに返り咲き。魔裟斗に二連勝、クラウスにもリベンジ。佐藤、コヒ、ドラゴ、カラコダとベスト8級はほぼ片付けてるし、ザンビも苦にしないだろうし、キシェンコもまだ相手じゃないだろう。あとは一勝一敗のブアカーオとワンマッチで決着をつければ、MAX完全制覇だ。
閉会式でも多くのファンが残り、惜しみない拍手が飛んだ。選手の気迫が試合を熱くし、積み上げられた技術が決着を演出した。素晴らしかった。
これで二か月後ぐらいに世界王者対抗戦があればなあ(笑)。復権を賭けるブアカーオもアッパー対策をしてくるだろうし、試練としてさらなるムエタイ戦士の上陸があるかも? ディレッキー、ドーソンの再上陸は、クラウスやサワーとのライバルストーリーにつながる。ドラゴ、ザンビ、カラコダ、キシェンコ辺りの潰しあいも見たいし、ニュー佐藤の今後も楽しみだ。コヒさんは日本トーナメントから出直しで……。
会場出たのはもう10時過ぎ。テレビも編集が大変だよ。さて、次の生観戦は大晦日か? 去年みたいな内容ならテレビで充分だし、まあカード次第で……。
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