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                                          堕天使のコロッセオ

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K-1WGP 過去ログその7

過去ログ
2006/7/30 K−1REVENGE 2カード追加

ぎゃああああ、また曙かよ。しかもホンマン戦っていったい……。興味ゼロのクソカードですがな。

http://www.boutreview.com/data/news05/060730k1wgp.html




曙(日本/チーム ヨコヅナ)
チェ・ホンマン(韓国/フリー)

曙が前回より変わった点と言えば、30キロやせただけ。痩せたと言ってもステップワークができるような体重ではないし、ハンドスピードも変わってないだろう。だいたいプロレスやってて打撃の練習もいい加減なもんだろう。
対するホンマンも、昨年から目立った成長はしていないと思う。それでもパンチの威力と精度は若干向上しているだろうし、まったく負ける要素はないだろう。
これは完全に主催者側が組む方が悪い、なんの意義もないカード。予選興行をまずまずまとめて来ても、この夏前後に必ずクソカードを叩き込んでしまうのが、K−1の近年のパターン。せっかくのワンマッチ大会なんだから、もう少しテーマのあるカードを組んでくれ。曙は、総合もプロレスも半端にかじってるだけの、存在自体にテーマのない選手。却下却下。


レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロジム)
マイティ・モー(米国/シャークタンクジム)

ま、それに比べたらこちらはマシなカード。ボクシング参戦を大失敗で終えたモーが、K−1に戻って来た。対するは、昨年有利に試合を進めながらも一発に泣いた前王者。判定も本当に僅差の結末だったので、これはそれなりに決着戦としてテーマのある試合だ。バンナ戦を見る限り、調子自体は悪くないレミーが、チャレンジャーの気持ちを取り戻せるか。アーツ戦で失墜したモーが、再びその一発の威力を見せつけるか。
2006/07/13 22:34
(5) 0) |

2006/06/21

2006/7/30 K−1日本予選中止! ワンマッチ大会に変更。

http://www.boutreview.com/data/news05/060730k1wgp.html

アンディ・フグ追悼大会として、懐かしのK−1リベンジ復活だそうである。突っ込みどころが多すぎて困るが、まずこんな急に追悼される(名前を担ぎ出される)アンディが可哀想(涙)。そして、一応ジャパンGPに出るつもりで準備してきた選手、中でも今までの予選にエントリーされてない天田なんかは可哀想(涙)。

ただ、マンネリでスカスカだったジャパンを解体してしまうのは、カンフル剤としても良いと思うし、ボーナストラック的なワンマッチ大会も時には欲しい。「リベンジ」というテーマも、いささか古びた感はあるが、テーマのあるワンマッチを組んで行こうという意気込みとしては悪くない。

あとはマッチメイクと、二つに増えた推薦枠の扱いなんだが……。



▼REVENGE MATCH K-1ルール 3分3R延長1R
武蔵(日本/正道会館)
VS
グラウベ・フェイトーザ(ブラジル/極真会館)

▼REVENGE MATCH K-1ルール 3分3R延長1R
ゲーリー・グッドリッジ(トリニダードトバゴ/フリー)
VS
ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)

リベンジってのは、やはり「負けてはいけない」スター、トップファイターが、不幸にも負けてしまい、そのどん底の逆境から這い上がろうとあがく姿が良いわけ。そそるわけだ。残念ながら武蔵君はまったくそういうキャラではない。だってあきらかに判定負けてるのに手を上げて勝ち誇るんだもんな……。勝負に対するストイックな姿勢が見えない選手は、このテーマに相応しくない。
グッドリッジの方が、その点はまだましではないか? ただ、「リベンジ」というテーマを脇に置くと、「再戦」は前回が不完全な決着になったか、あるいは前回敗れた方が大きく進化を遂げているか、どちらかが必須の項目となる。2004年のアーツ対グッドリッジは、アーツが力でねじ伏せた完勝であり、なおかつグッドリッジはちょうどその頃から立ち技慣れして、勝率を伸ばしてきていた時期であった。あの当時に比べて、グッドリッジが進化しているとは思えない。昨年はこの時期は予選突破していたのが、今年は突貫スタイルを破られ、未だなし得ていない。結果だけを考えると、むしろ衰えつつあるかもしれない。昨年のバンナVSグッドリッジは、結果はともかくそういう意味ではまだテーマの感じられる試合だったのだが、残念ながらこのカードには意義が感じられない。

まだ数試合リベンジマッチが組まれるそうだが、あまり期待できないかもしれない。


▼SUPER FIGHT K-1ルール 3分3R延長1R
ポール・スロウィンスキー(オーストラリア/ファインダーズ・ユニ・ムエタイジム)
VS
富平辰文(日本/SQUARE)

▼SUPER FIGHT K-1ルール 3分3R延長1R
ビヨン・ブレギー(スイス/マイクスジム)
VS
中迫強(日本/ZEBRA244)

▼SUPER FIGHT K-1ルール 3分3R延長1R
藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
VS
新村優貴(日本/大誠塾)

▼SUPER FIGHT K-1ルール 3分3R延長1R
フレディ・ケマイヨ(フランス/ファウコンジム)
VS
天田ヒロミ(日本/TENKA510)

かつて、K−1ジャパンでは、日本対世界のコンセプトで多くの試合が組まれたものだ。かつて地域予選が多く開催されていたころ、そこの優勝者クラスがなかなか呼ばれず歯がゆい思いをしたものだが、ようやくWGPシリーズに組み込まれた意義が出てきた感じ。見よ、この地域予選優勝者の豪華かつ地味なラインナップを!
しかしまだまだ知名度の低いポールやブレギーも、ここで日本人を生け贄として、煽りに使ってもらえるような豪快KOを演出したいところである。日本勢もチャンスと言えばチャンスで、かつて富平がボンドラチェックを打ち破った時のように、世界を打ち負かせるチャンスがあるかもしれない。

他の参戦予定は、ホースト、ホンマン、アビディ、太い方のカラエフ、内田ノボル……。あと、サップの可能性もあり?
2006/06/21 20:06
(4)

2006/06/03

2006/6/3 K-1ソウル大会 試合感想

またも……またも!
これは波乱なのか、それとも予定調和なのか。三年目を迎えたソウル大会が意味するものとは。
むむ、それにしても3時台のアクセスが多いのはなぜだろう。
仕事のあるなしに関わらず、うちは絶対に速報はやりませんので、悪しからず。



▼第1試合 K-1 ASIA GP 2006 1回戦 3分3R(延長1R)
キム・ドンウック(韓国)
VS
藤本祐介(日本/モンスターファクトリー)

まずは日本の藤本登場。え〜と、一年練習してきた方が、ドンウックでしたか。さすがに少々は形になっていて、太くて短い腕のフックが、意外にもスムーズに出ている。そして、そのフックを警戒して踏み込まない藤本。一歩ステップしてのフックを恐れてか、藤本はローの距離にもなかなか入れない。
シルム勢はもっとラッシュをかけるべき……というか、全盛期のサップのようなスタイルを、こういう技術のない選手には主催者側は期待しているのだろうが、曲がりなりにも出来ているのはホンマンとプレデターだけで、あとはことごとく期待を裏切っている。試合勘も距離感もなにもないのだから、当然かもしれないが……。
単発ながらもちまちまと有効打を当てた藤本が判定勝利。藤本は今日の出来も良くない。

▼第2試合 K-1 ASIA GP 2006 1回戦 3分3R(延長1R)
ガオグライ・ゲーンノラシン(タイ)
VS
中迫 強(日本/ZEBRA244)

前蹴り、ミドルで距離を取るおなじみのパターンのガオグライ。中迫はもう少し距離を詰めるかと思ったが、中間距離で蹴りに蹴りを合わせる作戦の様子。攻撃の際がもっともガオグライにとって危険な状況になるため、妥当な作戦か。もっとも大振りの蹴りでは当たるまいが……。そう思っていたら、徐々に距離が詰まりはじめた中、中迫のフックがガオグライの顎を捉え、ダウンが宣告される。近距離での膝に合わせれた形で、これはガオグライのミスだろう。
最終ラウンドは、珍しく攻勢をかけるガオグライ。だが、飛び込んでのパンチもハイも研究されてしまっているか、決定打にはならず。中迫は手数も多くなく、ダウンさえなければガオグライが取っていたかもしれないが、如何せんパターンが読まれ過ぎていたか。

▼第3試合 K-1 ASIA GP 2006 1回戦 3分3R(延長1R)
ムラッド・ボウジディ(オランダ)
VS
メハディ・ミルダブディ(イラン)

ガラガラの腿にローをもらうミルダブディを見て、一瞬で「終わったな……」と思ってしまったよ。こりゃでかいだけだよ。ボウジディは動きもいいし、ローもハイも切れている。が、一発を警戒してか消極的すぎる。こつこつ当てて、スタミナの切れたミルダブからあっさり判定をもぎとったものの、見どころのない試合だった。

▼第4試合 K-1 ASIA GP 2006 1回戦第 3分3R(延長1R)
キム・ギンソック(韓国)
VS
キム・ミンス(韓国)

本日のワースト。ギンソックは今日出てきたでかいだけの人の中でも最悪。総合でも打撃の練習をしてるぶん、ミンスがまともに見える。ところで、試合中にグローブを合わせる挨拶をあまりに何度も何度もやるから、「なんだ?」と思っていたのだが、途中であまりに衝撃的な事実に気付く。まさか、あれがジャブなの?
実況でも親切に数えてくれていたが、距離を詰めて攻撃した回数が多い方が勝ち、という不可思議なルールの元、判定ミンス。

▼第5試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R(延長1R)
ピーター・アーツ(オランダ/チームアーツ)
VS
堀啓(日本/チームドラゴン)

さて、ようやくまともな試合が見られるかな……。
序盤から、立て続けにコンビネーションを出す堀! なんだなんだ、らしくないよ。若干、アーツが守勢に回る。ぶっちゃけ最近、コンディションの作れていない選手、技術を持たない選手が、カウンター狙いをするのが目立つが、それよりも、三分三ラウンド、攻撃を出し続けた方が遥かに勝率は上がる。堀は二分しか続かなかったけど、これを三ラウンド続ければ、たいがいの判定は転がり込むのだ。ホーストやボンヤスキーもそれで勝ち星を重ねている。一発狙いよりも、手数を出す中で一発当たるのを期待した方が、実は効率がいいと思うのだが……。
話題がずれた。アグレッシブな攻撃でアーツを下がらせた堀だが、アーツも手数を返しはじめる。1ラウンド終盤には右ストレートも直撃。
第2ラウンド、攻勢の手を休めないアーツが、ガードもおかまいなしに右フックを叩き付けまずワンダウン。続いて同じ右フックでをこれまたガードの隙間にねじこみ、もう一つ。この時点で堀の目はほとんどいっちゃってたのだが、まだ続行。いや〜これは危ないね、軽いパンチでも終わっちゃいそう……と思っていたら……ひさびさに見ました、左ハイキックが直撃! ひどい! ひどいわアーツ先生! 大人げない! 堀は腰から崩れ、マットに顔をつけ虫の息。かっと見開かれた目、半開きの口から唾液がしたたる。
いや〜、やってしまったね。右のパンチもハイキックのフィニッシュも、全盛期の得意パターン。スピードこそ落ちているものの、実力差があってきっちり崩す事に成功すれば、まだまだ決まるということだ。
担架で運ばれる堀。これでまた打たれ弱くなるんだろうか……。

▼第6試合 K-1 ASIA GP 2006 準決勝第一試合 3分3R(延長1R)
藤本祐介(日本/モンスターファクトリー)
VS
中迫 強(日本/ZEBRA244)

ジャパングランプリかよ! 藤本がようやく手数を出し始めたのだが……これは要するに、手の内を知ってる相手だから安心して攻撃を出せているだけなんでは? 中迫はガオグライ戦ですべてを出し尽くしたか、まったく手が出ず。終盤はハイキックを狙う場面もあったが、藤本も昨年の富平戦の教訓か、これをもらうことはない。
しかし、何もない試合だった。今日の藤本には、気迫も作戦もなかった。スパーリングの延長で、疲れてない方が有利だった……そんな内容だった。

▼第7試合 K-1 ASIA GP 2006 準決勝第二試合 3分3R(延長1R)
ムラッド・ボウジディ(オランダ)
VS
キム・ミンス(韓国)

オランダの新星ボウジディが、楽々と決勝に進むかと思ったのだが、勝負事はわからない。ローなどもらっていないのにすでにボロボロのミンスの足にローキックを当て、2ラウンドにダウン一つ。だが、ミンスのがちゃがちゃした動きにリズムをつかめないのか、止めの一撃を出せない。そして3ラウンド、なんとミンスのパンチが直撃で、ボウジディがダウン。一回戦でも1ラウンドでも危ない場面があっただけに、意外さはなかったものの、ここで出なくても。勝負は延長にもつれこむ。
普通なら、コンビネーションで上回るオランダ人キックボクサーの優位は揺るがないはずだ。が、それならそもそも、ダウン一つずつでイーブンになるはずがない。本戦で手数で上回って勝つチャンスはいくらでもあったはずなのだ。なんだろう、安全に勝とうとしすぎているのか。それで負けるのだから世話はない。案の定、ついに自分のリズムを作れないまま、ボウジディ判定負け。

▼第8試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R(延長1R)
レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォーファイトアカデミー)
VS
ルスラン・カラエフ(ロシア/マルプロ)

セフォーはオセアニア以上に身体も絞れていて、調子がよさそう。カラエフは言わずもがな。序盤は、やや離れた距離からカラエフが得意の速攻! 左ストレート、正面からの膝で、いきなりセフォーがノーガードを取る。出だしは明らかにカラエフペースで、スピードでも完全に上回っている。このままダメージが蓄積すればセフォー危ないな……と思った直後、組んでの膝が中途半端な当たりになったところでブーメランフック直撃! いや〜タイミングがドンピシャで、カラエフはマットにキスして失神。いや〜、見事に予想通りのパターンにはまっちゃったなあ。セフォーはやはりハンドスピードはすごいよ。カラエフは最後のパンチが見えてなかったと思うが、ちょっと不用意に膝で行っちゃったかなあ。セフォーはシュルト戦でもこのフックを多用してたし、今回はそれがズバリと当たってしまった。

▼第9試合 K-1 ASIA GP 2006 決勝戦 3分3R(延長2R)
藤本祐介(日本/モンスターファクトリー)
VS
キム・ミンス(韓国)

すでにぼろぼろのミンスに対し、慎重と言うか消極的すぎる藤本。ローを当てて安全策で勝とうという気配がほの見える。2ラウンドに失速したミンスにパンチを当て、どうやらKO勝ち。
結果こそ優勝だが、今日の藤本はカーター戦と何も変わっていないように見えた。レベルの低い大会に出たから勝っただけで、技術的、身体的、精神的にも成長の跡は見られなかった。これで開幕戦進出か……。

▼メインイベント スーパーファイト K-1ルール 3分3R(延長1R)
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
VS
チェ・ホンマン(韓国/フリー)

シュルトさんがパンチを当てて主導権を握る……と思ってたのに、レンガパンチはホンマンのパンチに邪魔されて届かない。それならば、とローに切り替えるが、どうも数が足りない。ホンマンも時々カットするので、有効打はあるものの、ダメージが蓄積しない。ホンマンは押し込んでパンチをふるい、幾度かお互いのパンチが交錯する。シュルトのジャブは当たるが、ホンマンは下がらず。シュルトはホンマンのパンチを、顔を背けてやり過ごすいつものパターン。めずらしく頭を下げてクリンチに行ったりして驚き。
シュルトさんは連戦の疲れか、動きに切れなし。ローキックをもっと出せば主導権が握れるはずなのに、中途半端な攻撃に終始。2ラウンド後半には後ろを向く場面も。
ややシュルトかな、と思った判定だが、正直評価されるほどのダメージも与えてないし、延長でも妥当かと思った。が、結果はスプリットながらホンマン勝利。

総括だが……これはK−1の危機である。長く叫ばれてきたことでもあるが、とうとう本格的に顕在化し始めた。それは、技術レベルの低下だ。おなじみの古参選手が、得意パターンをきっちり決めて勝つ一方で、若手の選手が技術のない巨漢を倒せないどころか、判定勝ちもできないという現実。
ムエタイの失墜、オランダ・キック王国が柔道家に殴り倒される恥さらし、王者が参戦2年目の選手を翻弄できない……。サップ、曙の時代を終え、純K−1は巨漢対策を完成させたかと思っていた。ボンヤスキーが曙を狩り倒しホンマンを完封し、こうすれば技術のない選手には勝てる、という磐石のパターンを完成させたものとばかり思っていた。が、今日の藤本、ボウジディの体たらくはどうだ。攻撃を誘って疲れさせ、動きの止まったところをコンビネーションでポイントを稼ぐ……それがまるで出来ていない。大振りの一発を警戒して、お見合いファイト。これは王者シュルトも似たり寄ったりだ。こうすれば崩せる、というパターンがあるにも関わらず、パンチで行ってみたりローを蹴ってみたり、最後に膝を出してみたり……非常に漫然と戦っていたように見えた。戦術が見えなかった。

敢えて言おう。結果よりも内容だ。シュルトは正当なジャッジなら勝ちだったかもしれない。だが、今日の内容はディフェンスの雑さと、攻撃のメリハリのなさばかりが目立った。藤本は優勝したが、開幕戦では1ラウンドもたないだろう。モンスター路線はますます馬脚を現しているのに、そのモンスターを打ちのめせない中堅、若手の選手たちの覇気のなさ。正直、未来は暗い。もっとも、ここまでの予選を制したスロウィンスキー、ハリッド、ブレギーに関してはさほど心配はいらないだろうが……それが救いか。
2006/06/03 22:53
(6) 6) |

2006/05/14

2006/5/13 K-1オランダ大会 試合感想

今回もスカパー観戦というとこで……仕事から帰ってきた後、仮眠を取っていざ観戦!
徹夜ですよ徹夜。
伏兵の制したオセアニア、アメリカに続き、ヨーロッパも新鋭が勝ち上がるか。それとも、今度こそ本命が制するのか?



準々決勝戦 K-1ルール 3分3R延長1R
アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ)
VS
ピーター・ボンドラチェック(チェコ)

イグナショフ先生、今日は116キロ。重いじゃねえか! まあ筋量とのバランスもあるし一概には言えんだろうけど、やっぱりこのウエイトで好成績を収めたことがないだけに、スタミナ等の心配が今日もつきまとうことになりそうである。
開始早々ミドルを飛ばし、蹴りの切れはそこそこ戻っているところを感じさせる。細かいローと前蹴りも出す。が、決め手はやはりパンチで、カウンターをきっちり決めて1ラウンドからダウンを奪取! ゴング間際に追い打ちをかけるも、ここではスリップで決めきれず。
ローの後にふっと息を抜いてパンチをもらったり、どうもぱっとしない。それでもKOされるような打撃は絶対にもらわないところが、この男の横着なところというか……。
しかし2ラウンド、またも右ストレートのカウンターが直撃し、ボンドラチェックはマウスピースを吐き出してふっ飛ぶ! はっはっは、ひさびさのKO勝利。なんか雑な印象だが……。
ボンドラチェックはいつもの突貫殺法を出してほしかったなあ。

トーナメント準々決勝戦 K-1ルール 3分3R延長1R
メルヴィン・マヌーフ(オランダ)
VS
富平辰文(日本)

HEROSでの活躍が期待されるマヌーフが、日本のナンバー2トミーと対決! マヌーフはヘビー級には軽いがそれは富平も同じだし、結構噛み合った試合になるかな、と想像していた。富平はノーモーションのミドルとロー、マヌーフは対角線コンビネーション。
が、足を止めて蹴りを狙い過ぎたかトミー、ジャストの距離でコンビネーションを浴び続け、ガードを固めて棒立ちに! それでも顔面はカバーしてるし、まだ大丈夫かなと思っていたら、ガードの上から効いてしまったのかフラフラとダウン! なんだ!? 立ち上がる富平だが、表情にも覇気が感じられず。攻め手を見いだせないまま同じコンビネーションを浴びあっけなくKO負けとなった。
また海外で日本の恥をさらしてしまった上、試合後に引退をほのめかす発言をするも某選手の逃亡などにかき消され、誰も話題にしていない。ため息。

トーナメント準々決勝戦 K-1ルール 3分3R延長1R
ビヨン・ブレギー(スイス)
VS
フレディ・ケマイヨ(フランス)

おおお、出た! これがバビディの魔力でパワーアップしたスポポビッチ=ブレギーか! 噂では人相が凶悪になってると聞いていたのだが、ハゲてるだけで顔は今までのベビーフェイスだった。
遠めの間合いからのワンツー、接近しての膝でケマヨをコーナーに詰めるブレギー。おおお、これはシュルトさんスタイルじゃないですか。動ける巨人ブレギーがケマヨに攻め込む! ケマヨもラッシュを凌ぎ切り、パンチで反撃。が、なんかこの選手はスロースターターだねえ。相手のペースに巻き込まれてからかなり粘るが、ダメージの借金を取りかえせないような……。2ラウンド、ケマヨはステップをうまく使い、ヒットアンドアウェイで有効打を当てる。これを最初からやってれば……。そしてエンジンのかかったブレギーが、ロープ際に詰めてラッシュ。逃れようとサイドステップして態勢の崩れたケマヨに追い打ちのフックを叩き込み、3ラウンドKOで決めた。
いや〜でもニューブレギーはアグレッシブで良いねえ。

トーナメント準々決勝戦 K-1ルール 3分3R延長1R
ナオホール“アイアン・レッグ”(フランス)
VS
アティラ・カラチュ(ハンガリー)

さて、これまた本命か、昨年衝撃のデビューを果たしたナオホール登場。新鋭カラチュと激突。出だしからヨーロッパ型のコンビネーションの応酬、いやあ美しいねえ。スピードでカラチュ、重さと適確さでナオフォールかな……と思いつつみていたが、一見互角のようでいて、勝負の趨勢は明らか。カラチュの下がり際にノーモーションのハイキックが直撃!
恐るべし、アイアンレッグ。これで準々決勝はすべてKOとなったが、インパクトでは一番か。

▼第11試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長1R
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
VS
ロイド・ヴァン・ダム(オランダ/ファイティング・クラブ・ロイド・ヴァン・ダム)

いやあ、ひさびさにロイドさんが見られて、なんか嬉しいね。
試合展開は予想通り、シュルトが前蹴りと膝を当て続けて圧倒。ロイドも膝の防御なんかは上手くて決定打はもらわなかったが、威力の乗り切らないローを返すのが精いっぱい。クリンチも多く、攻め手のないまま試合終了。
シュルトは武蔵戦、ロイド戦と連戦も、ほとんど打たせずで、ダメージもそんなにない感じ。

トーナメント準決勝戦 K-1ルール 3分3R延長1R
アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ)
VS
ゴクハン・サキ

さて、鮮烈KOの連続で、決勝はナオフォールとブレギーのどっちが上がってきても手強いな……と思っていたが、その前に突然マヌーフ棄権。拳を痛めたようで、代わりにリザーバーとしてゴールデン・グローリーの新鋭サキが登場。軽快そうではあるが、逆に言えば細身であまり強そうではない。正直、今日の調子でもイグナショフの相手ではないと思ったのだが……。

大失速。

あり得ない。一回戦はKOで決め、スタミナも充分だったはずだ。なのに、まったく手が出ない。スロースターターだけに一回戦が山、そこをクリアすれば徐々に調子も上がるだろうとふんでいたのだが、見事に裏切られた。悪夢を見るような思いだった。パンチ、蹴り、全てが止まり、オーソドックスに構えた左足にローが当たり続ける。実況ではローで脚が腫れていると言われていたが、当たれば腫れもするだろう。別にバランスも崩れず引きずる仕草も見せず、大したダメージではなかったはずだ。そして、前蹴りやハイも全て見切り、スウェーでかわしていた。
……なのに、手だけが出ない。体重も軽く、キャリアも浅い選手に対し、まったく攻撃しない。翻弄されているわけではない。ガオグライのような距離の取り方などまったくなく、サキはかなり危険な距離に身を置いていた。ただ、イグナショフが攻撃しないだけだ。
一回戦も好調とは思わなかったが、準決勝は最悪の出来だった。昨年の内田戦が好勝負に見える、最悪の試合だった。結果はフルマークの判定負け。同体重の選手に対するようなディフェンスを展開する必要が、どこにあったのか。当たらずとも、多少強引にでも攻めていれば、ここまで大差がつくことはなかったはずだ。なのに行かないのはメンタルか、コンディションか。判定の前、コーナーに戻った時、アンドレイコーチがパンチと膝のジェスチャーをしながら怒鳴り散らしているのが見えた。当然だろう。競技者として失格の、どうしようもない内容だった。トレーナーとして大恥をかいたも同然だ。
試合後のインタビューで、調整の失敗、自分への過信、モチベーションのレベルの低さを敗因にあげた。すべて、今までイヤと言うほど繰り返してきた失敗ではなかったか。すべてわかっているのに、なぜ同じことを繰り返すのだろう。
2003年のアーツ戦、昨年のレミー戦の延長ラウンドで感じたのは……今まで書いたことはなかったが、決定的な欠落だった。何かが欠けている。リングに上がって戦う人間として、決定的な何かが。
この後に、レミー、バンナ、アーツ、ホーストという歴代のトップファイターが登場した。……あまりに違い過ぎる。彼等からそれの欠如を感じたことはない。だが、この日のイグナショフにはそれが決定的なまでに欠けていた。
闘争心、ハングリーさ、勝利への執着、どんな言葉を紡いでも、それを表現するには足りないような気がする。
……人間は変わることが出来る。怪我は必ず治る。心の傷もいつか癒える。足りないものの正体がわかっているなら、それを探し出して手に入れることもできるはずだ。問題は、彼にそうした意志があるかどうかなのだが……。それがなければ、もう引退した方がいいだろう。それもまたよし。彼の人生だ。アレクセイ・イグナショフというトップに立てたはずの天才がいたことを、私は心の片隅で覚えておくだけだ。

トーナメント準決勝戦 K-1ルール 3分3R延長1R
ビヨン・ブレギー(スイス)
VS
ナオホール“アイアン・レッグ”(フランス)

事実上の決勝戦。
圧力をかけようとするブレギーをパンチとローで止め、ナオホールが着実に攻勢をかける。上下に散らした後に再び伝家の宝刀が唸る。1ラウンドからダウンを奪われるブレギー。あの長身に対しても簡単に当ててくる、恐るべきハイキックの切れ。攻撃の際の安定感が段違いで、確かな技術を感じさせる。
だが2ラウンド、突如大逆転が! ブレギーの膝がボディに入り、ナオフォールはそれ一発でダウン! さらに追い打ちでガードの上からもう一発もらい、嫌倒れ! シュルトの時もレンガパンチ一発で戦意喪失したし、痛がりなんだろうか。

▼第14試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長1R
ジェロム・レ・バンナ(フランス/Le Banner X team Team)
VS
レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロジム)

ここまででかなりお腹いっぱいなんだが、まだこんな黄金カードがあるのだから、えらいことである。この試合はレミーの調子次第と思っていたが、結果からいうと仕上がりは完璧だった。
下がるレミー、追うバンナ。パンチでプレッシャーをかけるバンナに、レミーが右ミドルで返す。コーナーに詰めてパンチを出すバンナだが、レミーは危ないシーンではガードをがっちり固め、有効打を入れさせない。序盤、徹底して蹴りで勝負するレミーに、バンナもローとミドルを攻撃に織り交ぜ始める。それに対し、レミーも膝とパンチでの顔面狙い。お互い上下への攻撃が交錯し、互角の展開。腕が効いたかバンナが下がるシーンがあったかと思えば、ミドルがボディに効いたかレミーの動きが止まるシーンもあり。両者譲らず、勝負は判定。
延長かと思ったが、判定はレミー。手数ややバンナ、ダメージもバンナやや有利、顔面への有効打はレミーの方が多く、アグレッシブさはレミーが下がっていたことをのぞけば同じぐらいで、まあドローが妥当かと思ったが、ホームタウンデシジョンか。審判は日本人だけど……。常に前に出ていた選手が攻められて少しでも下がるのと、常に下がり続けていた選手が攻めに転じて前に出るのでは、後者の方が印象がいいのか?
ともあれ、現在の二人の実力が完全に互角と言えるのはよく分かったな。個人的には、勝敗よりもその感じの方が重要だった。

トーナメント決勝戦 K-1ルール 3分3R延長1R
ゴクハン・サキ
VS
ビヨン・ブレギー(スイス)

小気味良い前蹴りとハイの連発をうっとおしがるも、じっくり距離を詰めてジャブ一発! サキ失神〜!
あ〜あ、やっぱり雑魚だったか……。なんでイグナショフはこれが出来なかったんだろう。ゴールデングローリー狩りを二人続けて決め、優勝したブレギー。おめでとう。開幕戦では、ぜひシュルト戦を。

▼第15試合 スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長1R
アーネスト・ホースト(オランダ/ボスジム)
VS
ピーター・アーツ

会社で、引退試合はアーツ戦みたいなあ、と話していたのだが、実現してしまった……なんで!? だいたい、決勝より前にやるはずだったこの試合が、なぜか後回しになってるのでおかしいと思ったのだ。
しかしサップ、当日欠場で、しかも会場から逃げ出したとは……。オランダの大アウェーでびびったのか?
そして当日にいきなり試合を受けるアーツ! トランクスはシュルトの! こないだSBの試合でサワーが緒方の相手をかって出たりしましたが、あれはエキシビジョンだったしな。
試合は回転のいいコンビネーションを連発するホーストが、動きの悪いアーツを完封。ホーストの攻撃は軽い感じがしたが、コーナーに追いつめての十連コンボはやはり圧巻。Kー1には似たようなことが出来る選手、誰一人いないからな。強いて言えばルスランだが……。もうホーストのような選手は、二度と現れないのだろうかね。
盛り上がりには欠けましたが、個人的には感慨深い試合でした。ホーストは、アーツの調子のいい時に日本でリマッチしてもいいと語ったそうで……。シュルト戦よりも断然そっちの方が見たいね。ぜひ大阪ドームで。

いい興行になりそうな感じはあったのですが、トーナメント7試合中6試合KOの中、唯一判定負けを演出した(というか判定でしか負けられない)イグナショフのプロ意識のなさが水を差した。そして試合前に逃亡という前代未聞の暴挙をなしとげたサップ。こいつはもう永久に追放してほしいもんだ。
しかしオランダは満員だし会場も盛り上がってるし入場は短いし休憩はないし、サクサク進行していいなあ。パリと二本立てで毎年やるべきだよ、うん。
2006/05/14 21:37
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2006/05/13

2006/5/13 K-1オランダ大会 トーナメント予想に代えて

今回のトーナメントの予想は、もうよそう。どうせ何をどう考えてもイグナショフ優勝しか予想しないのだから。
かわりに、昨日からぼんやりと考えていたことを書いてみよう。



レミー・ボンヤスキーが離婚したそうである。
昨年のレミーVSイグナショフ戦の前の煽りVは、人生順風満帆の王者レミーに、どん底のイグが挑む、という内容だった。それを見てオレは、幸せなレミーに対してむかっ腹を立てると同時に、どこかしら違和感を覚えたものである。いわゆる「勝ち組」と「負け組」の構図そのままだったが、ここにいる選手二人の道程と現在は、そんな簡単に区分けするようなものだったのだろうか?
あれから、まだ8ヶ月も経っていない。その間に、レミーはジムを離れ、妻と別れ、そして王座を失った。今、誰も彼を「勝ち組」と呼ぶ者はいないだろう。……それに関してどうこう言おうというわけではない。ただ、どんな人間にも浮き沈みがあり、人から羨まれるような立場だった人間が翌日には何もかも失ってしまうことは、決して珍しいことではないし、また、何もかも持っているように見える人間でも、その人間自身にしかわからない欠落を抱えていることだってある。
レミーも、イグナショフも、そして我々も、それは同じなのだ。生きていれば、思うようにいかないことはたくさんある。自分の欲しいものが、誰かに与えてもらえるようなものでなければ、なおさらだ。だが、そうやって手の届かないものを求めてあがいている時こそ、彼らは充実しているのではないのか。たとえそれが手に入らなくとも、再びつかむことが出来なくともだ。
イグナショフはタイで練習してきたそうだ。トレーナーによると、非常に好調らしい。だが、また太ってもいるそうだ。富平選手のブログによると、試合前だというのに朝からドーナツばかり食べているということだ。
ああ、またか、とも思う。だいたいこの男は太ってるとろくなことがない。期待すれば期待するほど裏切られるのかもしれない。先日、グッドリッジ戦をようやく見た。聞いていたほど悪くは見えず、試運転というような内容だったと思う。それより良くなっているのなら御の字だろう。
去年、一昨年、好調だった2003年でさえも、試合の度に負けるんじゃないか負けるんじゃないかと気をもんだ。だが今、不思議なぐらい、静かな気分だ。思えば、私もあせっていたのかもしれない。何かに追い立てられ、自分を見失っていたのかもしれない。今は、少し考えが変わった。勝っても負けてもそれがイグナショフの人生であり、レミーの人生であり、私の人生であり、その意味は何も変わりはしないのだ。
明日はただ、静かに見守ろう。無論、勝利は祈っている。優勝したら、ミスドでも買ってこよう。

アレクセイ・イグナショフ万歳、そして、ドーナツ万歳……!
2006/05/13 19:38
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2006/05/08

2006/6/3 K-1ソウル大会 カード発表

スーパーファイト3試合と、トーナメントの組み合わせが、一部を除いて発表となった。
ま〜やっぱり去年よりはマシかなというラインナップですかね。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/column/200605/at00008948.html



シュルトVSホンマンは、別にカード自体には文句はないんだが、「でかい者同士」というコンセプトが見え見えすぎて、若干乗れない気分もあり。いずれ組むだろうなあ、と予想してたので……。ただ、ギリギリだがプレデター戦で勝ちをおさめたホンマンがこの試合に臨むのを否定するつもりはないし、両選手ともコンディションを整えて頑張ってほしいものである。
ルスランVSセフォーはリベンジマッチということで、経験を積んでレコも退けたルスランが、今回はどこまでやれるかに注目。セフォーのカウンターが入るまでに、いかにダメージを与えられるかがポイントか。セフォーはボタ戦ではいまいち調子がわからなかっただけに、今年を占う重要な一戦になりそう。

トーナメントは、Xですべてが決まるような印象ですねえ。ベスト16級って誰? すでに敗退したアビディ、グッドリッジ、グラハムの復活か、まだ予選エントリーのないボタ、レコか? レベル的にはボタで釣り合うんじゃないかと思うんだが……はっ、まさか天田? スロウィンスキ−に勝ったウスティノフもベスト16級と言えそうだが、ウスさんはアーツとのスーパーファイトの方が見たいかなあ。
2006/05/08 21:25
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2006/04/30

2006/4/29 K-1ラスベガス大会 試合感想

はあ〜、やっぱり全試合ノーカットはたまらんね。もう最高っす。スカパー万歳。
そしてそして、オセアニアに続き、またも番狂わせの連続。今年は……荒れますよ。



▼U.S.A.GP 1回戦
ゲーリー・グッドリッジ(トリニダードトバゴ/フリー)
VS
謙吾(日本/フリー)

開始早々、ゲーリーのパンチ直撃で謙吾失神〜! いや〜のっけからノーカットの意味のない試合を見せつけられたが、まあ予想通り。やっぱり謙吾は出してはいけない選手だった。HEROSに向けた売り出しも、完全に失敗だろう。この時点でゲーリー優勝の予感がすでにプンプン。


▼U.S.A.GP 1回戦
スコット・ライティ(アメリカ/ザ・ピット)
VS
デューウィー・クーパー(アメリカ/ワン キックス)

さて、今回イチオシのスコット・ライティ登場。ヒットアンドアウェイに定評のあるクーパーだが、今回はライティの方がヒットアンドアウェイ気味。遠めから繰り出すフックは見切られ当たらないのだが、逆に遠めから振り回すことでクーパーの接近を封じ、ポイント稼ぎのパンチラッシュを打たせない。ハイキックもガードの上を叩いているが、逆にハイとフックで意識を上と左右に向け、重いローキックとコンパクトなワンツーを当てて行く。常に間合いを保ちダメージを蓄積させるような攻撃で、ライティが徐々に優位に立つ。
クーパーもペースを掴み返そうとするのだが、ライティの牽制の大振りが機能しつづけているか。ライティは昨年のハリッド戦もルスラン戦もおおむねこの作戦で、得意なパターンですね。逆にクーパーは、昨年グラウベに蹴りを打たれ続けた展開をなぞってしまったか。
ライティの判定勝ち。いや〜この試合は地上波はカット必至でしょう。面白い技術戦でしたよ。スカパー万歳。


▼U.S.A.GP 1回戦
藤本祐介(日本/MONSTER FACTORY)
VS
カーター・ウィリアムス(アメリカ/チーム・ブードゥーUSA)

試合前の計量で、カーターは120キロとのこと。いやあ太いねと思ってましたが、出てきたら太いと言うかでかい! バンナみたい。そして、切れはない。うーん、3年でこんな感じになっちゃうわけか。が、なぜかこれが功を奏し、藤本に巨体でプレッシャーをかけ続ける。藤本は完全に圧力負けし、手が出ない。1ラウンド終盤、フックの打ち合いで、藤本ダウン!
別にでかくなってもカーターの打たれ弱さは変わっていないと思っていたが、黒人特有のバネで上半身を反らしてディフェンスする動きは、このウエイトアップでもギリギリのところで死んでいない。手数はほんとにないが、パンチや蹴り単発のスピードはさして変化がない。
とはいえ一発当てれば流れも変わるかと思ったのだが、藤本はついに攻め込めず。そのままゴングを聞く結果となった。ハワイ大会準優勝の結果を昨年出した藤本だが、所詮スキルのない選手への勝利であり、今回はカーターの戦法を読み切れなかったのが敗因か。


▼U.S.A.GP 1回戦
ハリッド・"ディ・ファウスト"(ドイツ/ゴールデン・グローリー)
VS
ショーン・オヘア(アメリカ/UPW.ベラーファイティング)

開始早々、ハリッドのアッパーの直撃を受けオヘア失神〜!
これで一回戦の勝ち上がり、完璧に予想通り。しかしオヘアを指して鋼鉄の肉体とかなんとか言っていたが、一昨年の大晦日、昨年のべガスの時より、明らかに身体はだぶついていた。全然、練習してないんじゃね? やはり謙吾と同じく、出してはいけない選手だった。ハリッドは前日計量93キロ、これは軽量すぎるかなと思っていたのだが、パンチの破壊力は健在。


▼スーパーファイト 3分3R延長1R
ステファン・"ブリッツ"・レコ(クロアチア/ゴールデン・グローリー)
VS
ルスラン・カラエフ(ロシア/マルプロジム)

さてさて、今日もっとも楽しみにしていた一戦。序盤からカラエフ、右ステップから飛び込んで打つ得意の右ストレートを皮切りに、猛攻撃。特に初弾のバックスピンはレコの苦笑いを誘い、いい感じ。レコも得意のバックブローを返すが、今ひとつスピードに乗り切れない。
レコはローキックを当てるのだが、これを嫌ったカラエフ、2ラウンドもさらに猛攻。ロープ際でのフックとアッパーを織り交ぜて放つ「ロシアンルーレット」が火を噴き、レコがダウン! 圧力をかけてパンチを見舞っていくのが得意パターンのレコが、ここまでまったく持ち味が出せず、押しまくられる。近距離での打ち合いの精度はさして変わらないように見えるが、手数がまるで違う。
そのまま押し切ろうとするカラエフ、3ラウンドもローを我慢しながら攻め、フックを当てて二度目のダウンを奪う。これでポイントには完全に差がつき、レコは崖っぷち。反撃でローキックを立て続けに当てるが、カラエフは倒れず。いくらヘビー級のローキックでも、3ラウンドではなかなか倒しきれんだろう……と思っていたら、ローに意識が行き過ぎたか、前蹴りで距離を取ろうとしたカラエフにレコの「ライトブリッツ」が直撃! 出た〜! カラエフ、完全にガード下がってたよ。どうやら立ち上がったカラエフだが、足下がおぼつかない。残り時間わずかのために逆転はならなかったが、レコの意地が光った。
レコはやはり2年のブランクは大きかったのかな。低く見積もっても、カラエフがレコと互角以上の地位に上がってきていることは感じられた。レコは自信と積極性がまだ取り戻せていない感じで、もともと打たれ強い選手ではないだけに、今日のように下がっていてはより重い選手の強打を浴びて簡単に倒されそうだ。クルト戦やホースト戦、ハントとの一戦目を彷佛とさせる悪いパターンだった。正直、トーナメントに出ていてもどうだったか。
カラエフは経験のなさが最後のダウンに結びついたか。もっとローの強い選手には苦戦しそう。昨年のライティ戦も武蔵戦も、食ってた割には倒れなかったので、耐性はあるのかもしれないが、どうもいいように打たせていて印象が良くないなあ。
期待に違わぬ好勝負で大満足だったが、レコ弱体化は少し寂しい。

準決勝
ゲーリー・グッドリッジ(トリニダードトバゴ/フリー)
VS
スコット・ライティ(アメリカ/ザ・ピット)

さ〜て、来ましたよリベンジマッチ。消耗度を考えたらライティは不利だが、身体のダメージはさほどないだろうし、前回よりもいいコンディションで戦えるはず……。
ゲーリーは変わらぬ猛ラッシュ作戦で一気に潰しにかかる。立ち上がりのライティは、前戦のリプレイのような、下がりながらカウンターを狙う展開。ここでもう少しねばると思ったのだが、正直、期待しすぎだったか。痛烈な当たりではないが、ライティは早くももらってしまい、ダウンを一つ取られる。ゲーリーはさらに突進。ライティは蹴りを返そうとするが、ペースを変えられず、プッシング気味に倒される。ここでレフェリーがまさかのダウン宣告でライティ、ダメージがないままKO負け!
二度目のダウンはまったくのスリップで、続行が適当だったと思われる。……が、続けても結果は同じだったと言わざるを得ない。クーパー戦のように制空権を維持して戦うのが持ち味のライティは、グッドリッジの突進をカウンターを一発当てて止めて、それから攻めていくというのが作戦だったのだろう。が、そのカウンターを狙い過ぎるあまり、下がりながら常にグッドリッジの得意技であるフックの距離に身を置き続けるという、最悪のパターンに自らをはめてしまった。自身の距離を取るために相手の距離に身を置く……肉を切らせてと言えば聞こえはいいが、要は本末顛倒なのである。下がりながらの攻撃は威力もなく、カウンターと呼べるレベルではなかった。そして、下がった事によって軽くとも被弾を招き、自らバランスを崩すような姿勢で攻撃に固執した姿勢が、最後のダウン宣告に結びついた。完全に作戦ミスだろう。


ハリッド・"ディ・ファウスト"(ドイツ/ゴールデン・グローリー)
VS
カーター・ウィリアムス(アメリカ/チーム・ブードゥーUSA)

カーターがもっと消耗して上がってくるかと思っていたのだが、安全運転が功を奏し、まだまだ余裕あり。秒殺のハリッドは余力充分だが、体重差がすごい。藤本戦と似た展開を開始前から想像したが、果たしてプレッシャーをかけハリッドに攻めさせないカーターが徐々に優勢。ハイキック、重いパンチ、膝をまとめ、ダウンを奪う。どうでもいいが、顔面への膝禁止とかどこでも報道してたけど、実際は「つかんでの顔面への膝禁止」で、フライングニーやテンカオはOK。ここでのカーターの膝はほぼつかんでいたので、反則を取ってもおかしくなかったが。
ダウンを二度取られたハリッドだが、しかしこの男はタフで、逆転を狙ってパンチをふるう。しかもこれが一発狙いの大振りでなく、非常にコンパクトなコンビネーションの連発。圧倒的な手数が逃げ切り態勢のカーターの顔面を捉え、一気に猛反撃開始! カーターめった打ちで露骨なクリンチで逃れるしかない。減点1が出て、さあハリッド追い打ちだ……というところで試合終了。
最後の最後にカーターの打たれ弱さが出て、面白い展開になったのだが、ハリッドは軽量の悲しさ、決めきれなかった。ラッシュは圧巻で、終わった時は完全に勝ったような感じだったが、試合に負けて勝負には勝ったといっていいだろう。藤本もこれをやらなきゃダメだろう。


▼スーパーファイト 3分3R延長1R
セーム・シュルト(オランダ/正道会館)
VS
武蔵(日本/正道会館)

アーツのパンチと新ルールに涙を飲んだソルトさんだったが、今回は「なんで減点だったかわからない」とバカを装いつつも、一応対策は考えてきたもよう。相手と抱き合った時に片手でばんばん殴り続ける……というのがその対策だったのだが、身体の圧力で完全に負けている武蔵くんが両腕でしっかりと抱きついてくれたために、やや印象がいい。相手がアーツだったらまったく通用しなかっただろうけど……。
武蔵はサウスポーに構え、パンチとミドルキックを幾度か当てるのだが、後半動きが落ち、パンチを打っては抱きつくというおなじみのパターンが復活してしまう。ひいきのないアメリカのレフェリーは、容赦なく減点を宣告! わはははは。序盤からスリップで逃げ、金的のアピールと得意技を連発したSIOだが、その程度の策ではソルトさんを崩せはしない。相変わらずパンチを怖がってるっぽいシュルトだが、徐々に落ち着いたか、つかまない膝蹴りも見せて悠々の判定勝利と相成った。
実況席の「大親友」魔裟斗は、別に武蔵には賭けていなかったのだろう。「ボディやミドルで下に振ってから攻めたら」「出入りのタイミングに変化をつけたら」と、冷静に技術論でダメ出し。しかしこの解説もフジからDVD出たら、きっとカットされるんだろうね……。
武蔵はもっともっとヒットアンドアウェイをするべきだったが、シュルトも追いかけてたし、逃げ切れなかったか。


▼スーパーファイト 3分3R延長1R
チェ・ホンマン(韓国/フリー)
VS
ザ・プレデター(アメリカ/UPW)

モンスターVSモンスター、大激突!
オフィシャルでの魔裟斗先生のコメントが、

(印象に残った試合は?)チェ・ホンマンとプレデターかな。選手としては分かんないけど、プロフェッショナルとしてはありなのかな。

となっているが、実はアップ直後「選手としては分かんないけど」の部分が、

「選手としては最悪だけど」

となっていたことは秘密である。最高だ、魔裟斗。一生ついていきます。主催者も隠すぐらいならしゃべらせなきゃいいのに(笑)。
まあ技術もクソもない殴り合いで、プレデターは序盤の意味のないバックスピンを出してなかったら、ダウン一つ減ってたんじゃないか。この手の大味試合の中じゃ面白かったほうで、KOになった方が面白いから最後はプレデターを応援したんだけど、残念ながら及ばず。
ホンマンは完全にスタミナ切れで、進歩のあとは見られず。プレデターもこれでいつまでも通用すると思ったら大間違い。シュルトさんかバンナにでも、早くこいつらに本物の蹴りとパンチを教えてやってほしいものだ。

決勝
ハリッド・"ディ・ファウスト"(ドイツ/ゴールデン・グローリー)
VS
ゲーリー・グッドリッジ(トリニダードトバゴ/フリー)

あれっ、ハリッドが出てきたぞ。準決勝のリプレイか……? と思っていたら、カーターがスネ骨折の疑いで病院送り! うーむ、やはり実質的な勝者はハリッドだったか。
しかし、秒殺秒殺で上がってきたグッドリッジの優位は明らか。ハリッドは急に決勝に出ろと言われてコンディションは整っているか? 序盤から潰しにかかるグッドリッジ。だが、ハリッドもフックとアッパーを打ち返し、細かいテクニックでグッドリッジのフックを凌ぎ、大打撃戦に! フックが当たってダウンを取られるハリッドだが、ダメージを感じさせない動きで打ち返し、逆にグッドリッジをコーナーに追い込み猛ラッシュ。だが、ガードを固めて耐えるグッドリッジもびくともしない。
2ラウンドもほぼ同じ展開。またもダウンを奪うグッドリッジだが、ハリッドはまたも蘇り、細かいジャブの連打からコンビネーションを連発! 2003年のパリでもペレ・リードを圧倒し、アビディを追い込んだパンチラッシュ。だがグッドリッジも速攻が通じないならと、第二の必勝パターンであるカウンター狙いに切り替え、ハリッドの猛打を耐え続ける。お互いに持ち味全開の好勝負。
このまま続けばダウンのポイントと打たれ強さにまさるグッドリッジの圧倒的有利は変わらないと思われた最終ラウンド、なおもKO狙いで攻めたグッドリッジのフックにどんぴしゃでハリッドのフックが直撃! 打たれ強さもくそもなく、グッドリッジが一撃で失神!
なんじゃあ! と叫んでしまったよ。いやあ、驚いた。事前にハリッド優勝と予想していたが、あくまで消耗度で漁父の利を得ると思っていたので、ここまで衝撃的な結末になるとは。

決勝の感想と全体の総評まとめて感じたことだが、今回は「倒し倒され」の展開で、K−1の魅力が良く出たと同時に「倒さなければ負け」「倒した方が速い」「倒さなければいつ逆転されるかわからない」という、ヘビー級の打撃における大原則を再確認した大会であった。下手に守りに行っても強打を浴びて逆転されるかもしれないし、ダウンを取っても詰めが甘ければ一発もらって引っくり返されてしまう。
決勝のゲーリーにせよ、逃げ切りに入っていれば勝ったのではないかとも思われるが、逆に守りに入ることで強打を浴びる結果を招くことを恐れたがゆえの攻勢ではなかったか。結果的にハリッドのあそこまでの攻めと粘りがかかる結果を呼んだ、と言ってしまっていいと思う。
それにしてもハリッドは良かったなあ。そこそこ強いけど、K−1じゃトップに行ける選手じゃないと思っていただけに、今日の優勝は意外(予想してたくせに)。今日の感じなら、レコとやってても勝ったんじゃないか。開幕戦は、セフォーかルスランとやるかな?

いや〜面白かったですね。初のスカパー生中継で堪能しました。難を言えば、いささかパンチ偏重に過ぎたところかな。もっとキックが見たかった。
さあ〜次はオランダだ! 次も荒れますかね?

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